出版流通改革PT、雑誌発売日移動などを発表

社会

公開日:2018/1/30

 出版物流通の危機的な状況を解決するため、雑誌出版社で構成する日本雑誌協会(雑協)と、出版物の輸送などを行う取次会社の団体である日本出版取次協会(取協)は、昨年春から合同で「出版流通改革プロジェクトチーム(PT)」を設置して検討を重ねてきたが、今年1月26日に記者会見を開き、雑誌14誌が発売日を移動することや、新聞との共同配送をはじめとした流通改善に向けた実験を行っていると発表した。

 日本の出版流通は大正時代以来、雑誌の配送網に書籍などを混載するという日本独自の形で発展し、これを日本出版販売やトーハンといった取次会社が担っている。しかし、近年、雑誌の販売量が全盛期の3分の1ほどに減少し、加えて1軒当たりの配送量が少ないうえに配送時間指定などが厳しく設定されているコンビニエンスストア(CVS)への配送が増えるなどの要因で、輸送効率が悪化し、出版流通網の維持が危機的な状況を迎えている。

 出版流通改革PTは、この危機を解決するため、出版流通のあり方を抜本的に見直すために設置され、日による配送量の多寡を少なくするための発売日移動、取次各社の共配化、CVSの配送時間指定などの緩和、結束冊数の減少や「積込」の見直しなどによる取次の出荷作業の効率化、「同一地区同一発売」といった業界ルールの柔軟運用などに取り組んでいる。

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 記者会見では、このうち雑誌の発売日移動を中心に、検討の進捗状況を発表した。

 発売日移動は、取次での雑誌扱量が日によって大きく違う状況を解消するため、1カ月の中で特に発売日が集中している10日、23日、24日に発売されている雑誌のうち、今年1月から3誌、3月から7誌、4月から4誌が発売日を変える。

 同PTの調査によると、現状では1日の平均重量を100とした場合の指数で、1カ月の中で最も業量が多い24日は199・39、最も少ない8日は42・25と5倍近い差がある。この他、10日は142・90、23日は174・37と多い。

 会見時に発売日移動が決まっている14誌のほか20誌ほどが移動を検討しており、それらを含めた試算では、9日が49・38から98・45、10日は88・23、22日は87・85から119・75、23日は138・99、24日は120・56、25日は68・26から144・39となり、格差は4倍程度に縮小するという。

 一方、新聞との共同配送は、昨年11月頃にトーハンが読売新聞社と神奈川県の一部地域で実験を実施。印刷拠点から販売店に新聞を輸送するトラックに雑誌を載せ、早朝に配送できるドラッグストアなどに雑誌を配送した。日販も朝日新聞社と神奈川西部のCVS配送を検討している。

 このことについて説明にあたった取次幹部は「新聞は時間厳守で、新聞の配送が終わってから雑誌を届けることになるため効率が悪いケースがあったり、雑誌のような業量の多寡がないといった違いもあり、安易にできることではないが、効率の悪い地域の事情は似ているので、補完機能として検討を続けていきたい」と述べた。

 発売日移動が決まっている14誌は次の通り。

▽10日から9日に移動=『サライ』(小学館)、『BE―PAL』(小学館)、『一個人』(ベストセラーズ)、『FINE』(マガジンハウス)、『FINE BOYS』(マガジンハウス)、『POPEYE』(マガジンハウス)、『MEN’S NON―NO』(集英社)、『MEN’S JOKER』(ベストセラーズ)、『MONO Max』(宝島社)、『GRIND』(ミディアム)

▽23日から22日=『美的』(小学館)、『MAQUIA』(集英社)、『VOCE』(講談社)、『&ROSY』(宝島社)

記事提供=文化通信