少女マンガの王道・くらもち作品の影響力 デビュー45周年で改めて読む!

マンガ

公開日:2018/3/7

『くらもち本 ~くらもちふさこ公式アンソロジーコミック~』
『くらもち本 ~くらもちふさこ公式アンソロジーコミック~』
くらもちふさこ ほか
集英社マーガレットC

 2017年に『花に染む』で手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞し、デビュー45周年を迎えたくらもちふさこ。昨年以降、氏の作品の再評価の機運が高まっているが、今年1月に刊行された『くらもち本』もその一つ。複数の作家によるアンソロジー本で、大御所から気鋭の作家まで20人の作品が掲載されている。

 例えば、椎名軽穂は「天然コケッコー」のシゲちゃんにスポットを当てたコミカルな短編を、雲田はるこは「花に染む」をテーマにドキっと色気のある男同士の友情の一場面を描いている。それらの作品から、くらもち作品がいかに愛され、影響を与えているかを実感する。本書をきっかけに過去作についつい手が伸び、夜を明かしてしまった。

 読み返すと、時代ごとの絵柄の変化とその古びなさに改めて総毛立った。少女の普遍的な心の機微、それらが複雑に絡み合う群像劇。王道にして、唯一無二だ。少女マンガの王道をいく作家の功績はしばしば見逃されがちなので、今回のような一冊は本当に嬉しい。くらもち作品の読み直しでまだしばらく夜更かしが続きそうだ。

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文=倉持佳代子