人間関係は「演出」と「対応」が10割!? ムダにモメないために知っておきたいこと

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公開日:2018/3/15

 人間関係を円滑に進めるためのコツを紹介する『弁護士だけが知っている ムダにモメない33の方法』が、2018年2月26日(月)に発売された。

 弁護士である著者は、多くの事件を担当・解決してきた中で“事件の大半はコミュニケーションのズレから生じている”ことを発見。大きな事件になる前には必ず小さな揉めごとが積み重なっているという。しかし揉めごとが小さいうちは、コミュニケーションを少し変えるだけで簡単に解決できる。

 弁護士の仕事は、相談者の悩みを聞くなかでベストな方法を探り、解決の道へと一緒に歩んでいくこと。同書は、たくさんの相談者との経験から得た「揉めごとを起こさないコミュニケーションのノウハウ」をまとめた一冊だ。

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<人の顔色はうかがってもいい>
「見せ方」を意識することは、卑怯でもいやらしくもない。人間関係は「演出」と「対応」が10割で、周囲の人々から「どう見えるのか」が自分自身をつくりだす。逆にいえば「人からどう見えるのか」をベースにして振る舞えば好印象をつくれる。

 どれだけ心がきれいだとしても、話し方や対応が悪い人を「素晴らしい人だ」と思うだろうか? もしかしたら身の回りで悪印象を抱かれている人も、「心がきれいで、やっていることがまっすぐ」な人かもしれない。外見やアピールといった「見せ方」が悪い人はほぼ例外なく、そのままの印象で相手に伝わってしまう。

 人は相手の言葉や表情を見て、その人が好きか嫌いかを判断する。見せ方が10割というポイントを念頭に置けば、無駄な争いが起こる確率は格段に下がるだろう。実際に印象をよくするための方法をいくつか紹介しよう。

1.自分が失敗してしまったら「小さなおわび」を用意する
 例えば、待ち合わせにどうしても遅刻してしまいそうなときは、缶コーヒーなどのすぐに買える「小さなおわび」を用意して渡すのがおススメ。失敗の大きさを注意深く判断する必要があるが、小さな失敗であれば大層なものを用意する必要はない。その場で買えるようなもので大丈夫。

2.「小さな手伝い」を心がける
見せ方が悪い人は、会社を定時に帰るときに残業している人がいるにも関わらず「これから遊びに行く」などと言ってしまうもの。頑張っている人の耳に入る状況でそのような話をすれば、周囲からの評価は下がってしまう。

 時間に余裕があるなら、「仕事が早くに終わったし、少しだったら手伝おうか?」と言うだけで相手にムッとされてしまう心配もなくなるはず。相手は本当に手伝ってほしいわけではなく、「自分を思いやってほしい」という“裏のニーズ”を持っている。こういった場面では、本当に手伝う必要はない場合がほとんど。本当に時間がないときでも「お疲れさまです。頑張ってください」の一言を伝えるだけで、相手の気持ちは穏やかになる。「キザ」なこと、「余計な御世話」なことだと考えてしまうかもしれないが、さりげなく実践して人間関係を円滑にしていこう。

<揉めたら相手の「消火スイッチ」を探そう>
 争いの場で間に入る弁護士は、「相手に隠された『消火スイッチ』はどこか」と考える。ここで言う「消火スイッチ」とは、「相手が求めている答え」のこと。相手が求めているものを探すことができれば、話はたいてい良い方向に向かうもの。

 著者は、争いを前に気が立っている相談者であれば「何がゴールなのか」「何が目的なのか」を最初に聞くという。そして、「お金を取り戻したいのか?」「仲直りしたいのか?」といった質問の答えに合わせて、和解につながるストーリーを組み立てていくそうだ。

 人間関係において何を求めているのかは、なかなか解らないもの。争っている状況であればなおさらなので、会話の中で探していくしかない。聞き出すためには聞き役に徹するのがポイントになる。口論になっていたり、常日頃から険悪な関係が続いていたりすると、なかなか会話を成立させにくいが、勇気を出して「どうしたいのか?」と聞いてみよう。

<観察で本質を見定める>
 労働トラブルや夫婦間のトラブルを抱えている人の多くは、相手の「消火スイッチ」を探すだけで、わざわざ弁護士に相談したり訴訟を起こしたりしないで済むケースが大半。相手の訴えの全容を開くと「これは攻撃的にならずに、ちゃんと最初に謝ればすぐに終わる話なのに」と思うケースが多い。

 もちろん争いの原因はこの限りではないが、相手に会うと「お金の問題ではなく、謝ってくれればそれでいい」と話す人が多いのも事実。怒りの根底にある本質をつかまず、頭ごなしに攻撃して互いに嫌い合うことになればさらに燃えあがってしまう。

 揉めている間は、もちろん怒りもあるが「これ以上争いを発展させたくない」という気持ちから消火スイッチを探すことを恐れてしまう本音もあるかもしれない。相手と普通に接しているだけでは、嫌われはしなくとも関係の改善はできない。火傷を我慢して消火のスイッチを探し、関係改善への道を開こう。

<目次>
第1章:人間関係が円滑な人が知っている8つのこと
第2章:無駄にトラブルを起こさない人になる15のコミュニケーションの技術
第3章:起こってしまったモメごとを解決する10のトラブル対応術

佐藤大和(さとう・やまと)
レイ法律事務所代表弁護士(東京弁護士会所属)、芸能人の権利を守る「日本エンターテイナーライツ協会(ERA)」共同代表理事、厚生労働省「労働教育に関する支援対策」教材作成委員。1983年生、宮城県石巻市出身。2014年4月にレイ法律事務所を設立。2016年1月には同事務所を国内の法律事務所でTOP5%以内の事務所規模にまで成長させる。現在は多数のメディアに出演する、マルチな弁護士として活躍中。

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