ライオンよりも「パケ死」が怖い!? マサイ族が怖れる「5つの脅威」は…

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公開日:2018/4/14

 Webサイト「ロケットニュース24」の人気連載「マサイ通信」を書籍化した、『マサイのルカがスマホで井戸を掘る話』が2018年3月30日(金)に発売された。

 ケニアのアンボセリに住むマサイ族の青年ルカ・サンテが「原稿料で村の井戸を直す」べく、ありのままの生活風景をレポート。スマートフォンを手にネット時代を生きる、新しいマサイ族の伝説が開幕する。ここではルカのレポートを通じてわかった、「マサイの戦士が怖れるもの」を5つ紹介しよう。

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<マサイ族が怖れるもの その1 野良ゾウ>
ライオンを倒せるマサイ族だが、実は草食動物のゾウの方が恐ろしい。ライオンなら槍や刀で対抗できるが、暴れゾウが村に侵入すると手がつけられず、ひたすら家を破壊されてしまう。日本でも大型車の暴走事故には肝を冷やすが、ケニアのアンボセリにはガードレールなどない。ゾウの「圧」は大型車どころではないだろう。

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<マサイ族が怖れるもの その2 パケ死>
ケニアのアンボセリでも通信インフラが整いつつあり、ルカはスマートフォンを使って写真やメッセージを日本に送信。送られてきたデータを「ロケットニュース24」の編集長・GO羽鳥が受け取って「マサイ通信」にしていく。

だが大量の写真や動画を送ってしまうと通信費もかさむ。ルカも何度か「パケ死」の恐怖を感じたらしい。さらに充電するにも10キロ離れた町に出向いてソーラー発電の設備を持っている人に頼む必要があるため、スマホを普通に使うだけでも手間がかかる。

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<マサイ族が怖れるもの その3 不良役人>
遊牧民のマサイ族は基本的に自由に暮らしているのだが、「マサイ通信」ではなんと、ケニアの警察や役人との衝突もレポートされてきた。自由に生きるマサイ族の生活にも、目に見えない土地の区分けや法律が影響している。時には「勝手に自分たちの暮らしている土地を売却されそうになる」事態に陥るケースも。

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<マサイ族が怖れるもの その4 干ばつ>
ルカのレポートによれば、アンボセリは近年まれにみる干ばつが続いているという。猛暑の時期はひたすら木陰でやりすごして外出を避けるしかない。もしも井戸が壊れたら神に祈って雨を待つか、給水車に頼る生活に。ルカは明るくレポートしているが、日常からして命がけだといえる。

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<マサイ族が怖れるもの その5 カネ、仕事>
遊牧民のマサイ族本来の仕事は家畜の世話や狩り、観光客のガイドや物産の販売。だが、干ばつや竜巻、野生動物と戦いながら大自然の中で生きることは楽ではない。近代化が進む都市部に移住し、生きるために「就職という戦い方」を選ぶマサイ族も増加中。中には、自動車教習所に通って車や重機の運転を学ぶ者もいる。

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 現代においてマサイ族の闘う相手はライオンではなく、現実の社会。ルカはライターとして、スマートフォンを武器に闘っている。事実、ルカは原稿料を貯めて、壊れていた村の井戸を修復。ライオンよりも怖ろしい「パケ死」を乗り越えて、「カネと仕事」を手にして「干ばつ」に打ち勝ってみせた。

 他にも、ルカはマサイならではの文化を紹介している。牛をシメてその場で焼くマサイ式BBQや広大なマサイ式トイレ、民族衣装とカジュアルを組み合わせた最新マサイ・ファッションなど…。GO羽鳥をして「こやつ、なかなかセンスある…!」と言わしめたレポートスキルでマサイ族の生活を綴っていく。

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 ネット連載や書籍で積み重ねられたレポートの先にはルカ自身、そしてマサイ族の課題と夢も描かれている。人類史上初、スマホで仕事をして井戸を掘ったマサイ族の伝説はまだまだ続くだろう。

※掲載内容は変更になる場合があります。