「女優の愛読書としては意外すぎる」 門脇麦がバイブルとして紹介した『夜と霧』が話題

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公開日:2018/4/4

 2018年4月1日放送の「情熱大陸」で、女優・門脇麦が『夜と霧』を“バイブル”として紹介。同書にはユダヤ人精神分析学者から見たナチスの強制収容所の様子が綴られており、番組放送後から「女優の愛読書としては意外すぎる」「かなり興味深い」と注目を集めている。

 同番組では、門脇の仕事ぶりや自宅での様子を取材。自宅の本棚には出演作のDVDやお気に入りの映画が並んでおり、門脇はその中から『夜と霧』を取り出した。原著の初版が出版されたのは1947年のことだが、門脇は現代だからこそ読むべき1冊だと絶賛。「今の時代に希望を持たないでどうするっていう気持ちになる」とコメントしている。

 同書を執筆したのは、アウシュヴィッツのナチス強制収容所から生還した精神分析学者・ヴィクトール・フランクル。フランクルは収容所での出来事を冷静な視点で記録し、想像を絶する過酷な環境の中、監督官や収容者がどんな心理状態に置かれているのかを分析していく。

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 フランクルは同書の中で「わたしたちは、おそらくこれまでのどの時代の人間も知らなかった『人間』を知った」「生きることがわたしたちからなにを期待しているかが問題」など印象的な一節を数多く生み出しており、ヨーロッパに留まらず世界各国で古典として読み継がれている。日本の読者からも「生きることについての考え方が変わる」「何度でも読み返したい1冊」「世界中の人に読んで欲しい名著」と今でも絶賛の声が後を絶たない。

 1997年にはフランクルが新たに手を加えた改訂版も出版されており、日本では1956年発売の霜山徳爾訳『夜と霧――ドイツ強制収容所の体験記録』と2002年発売の池田香代子訳『夜と霧 新版』の2パターンが存在する。門脇が紹介したのは『新版』の方で、視聴者の間では「これがスッと出てくる女優さんって素敵」「門脇さんの愛読書と聞いて読みたくなった」「バイブルと言い切れる感性に感心する」と話題になった。

 アウシュヴィッツにまつわる書籍は数多く出版されているが、同書はその中でも一際評価の高い1冊。人生や命を見つめ直すきっかけとして、1度手に取ってみてはいかがだろうか。

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