「すみません、計算間違ってました」著者の謝罪にファン賞賛!! 文庫版『空想科学読本』がおもしろいぞ

文芸・カルチャー

公開日:2018/7/24

空想科学読本 滅びの呪文で、自分が滅びる! (角川文庫)

著:
イラスト:
出版社:
KADOKAWA
発売日:

「マンガやアニメでさりげなく描かれているあの現象、実際に起こったらどうなるんだろう?」。
マンガを愛する少年少女ならば、こんな問いを抱いたことが一度や二度はあるに違いない。ドラゴンボールの重力100倍の部屋。いったいどうなっているんだ。しずかちゃんはお風呂に入りすぎ。いったいどうなってるんだ。おっぱいミサイルってなんなんだ。

 やがて年齢を重ねると、そんなことに頭を悩ませることはなくなる。大人は忙しいのである。マンガはマンガ。現実は現実。しっかり切り離して、今日も仕事に行かなくては……。

『空想科学読本 滅びの呪文で、自分が滅びる!(角川文庫)』(柳田理科雄/KADOKAWA)

 しかし、「そんなこと」を20年以上やり続けているのが『空想科学読本』の著者・柳田理科雄先生だ。『空想科学』シリーズはいまや累計500万部を突破する大人気シリーズ。近年は児童書にも進出し、『ジュニア空想科学読本』が全国の小中学校でブームになっていたりする。

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 そんな柳田先生の最新刊『空想科学読本~滅びの呪文で自分が滅びる!~』が、7月24日角川文庫で発売された。この角川文庫シリーズは過去に2冊刊行されており“20年間の歴史の中から厳選した傑作原稿を収録する”というコンセプトで人気を博している。
この文庫シリーズのすごいのは、傑作原稿をすべて書き直しているところだ。柳田先生は「文庫化」の意味を間違えているのかもしれない……。

 しかも今回の「まえがき」では、22年前の自らの間違いを謝罪している。

『ウルトラマン』の最終回に登場した怪獣ゼットンは、1兆℃の火の玉を吐く。これに関して僕は、最初の『空想科学読本』に「地球でそんな高温の火球を発生させたら、90光年離れた星の生物まで滅亡する」と書いた。1996年のことだ。
ところが今年になって、それを再計算してみたところ、何度やっても「90光年」という結論にならない。たぶん90光年が計算間違い。どこで間違えたのかさえわからず、20年以上、間違いを放置してきたのかと暗澹たる気持ちになったが、ツイッターに計算式を添付して「正しい滅亡範囲は、半径402光年でした。お詫びします」と書いた。すると、驚いたことに「被害が増えてるやん」「ゼットンますます強くなったね」などと面白がってもらえたうえに、「20年前の記述を訂正するとは偉い」とホメられたりしたではないか。驚いたし、嬉しかった。正直になるものですなあ。

 なぜいまさら再計算したのかナゾである。ともあれ、誠実な姿勢であることは間違いない。

 本書は前述の「ドラゴンボールの重力100倍の部屋」や「しずかちゃんお風呂入りすぎ」「おっぱいミサイルの構造」など、誰もが知る名作の検証のほか、『ポプテピピック』のポプ子の竹書房破壊や、『干物妹!うまるちゃん』の「家うまる」の謎、『文豪ストレイドッグス』の文豪たちの強靭さ、『僕のヒーローアカデミア』轟焦凍の必殺技など、今まさに旬を迎える人気作品の謎についても果敢に切り込んでいる。

 また今回の文庫は、出典元が従来の単行本だけでなく、『ジュニア空想科学読本』が初出というネタも数多い。同シリーズは子ども向けなので、「これまで出た『空想科学読本』はすべてそろえているぞ!」という熱心な読者でも、さすがに目にする機会が少ないだろう。そこで人気のあった原稿を角川文庫向けに加筆修正しているから、大人のファンも充分楽しめる内容になっている。

 平成最後の夏である。ひととき童心に戻り、おっぱいミサイルの不思議に思いを馳せてみてはいかがだろうか。

【目次】*一部抜粋
●天空の城ラピュタは「バルス」の呪文で崩壊、一部だけが昇っていったが、その後はどうなる?
●『ポケモン』のサトシは「ポケモンより強い」という噂を科学的に考えてみる。
●新聞の広告でおなじみ『三国志』の孔明は、どれほど頭がよかったのか?
●『ヒロアカ』の轟焦凍は、右手で凍らせ、左手で燃やす。科学的にスバラシイ奴だ!
子どもがよく言う「いつ? 何時何分何秒? 地球が何回まわったとき?」に、スッパリ答えよう!
●『ポプテピピック』で、ポプ子は竹書房のビルを破壊していたが、この行為を本気で考える。
●『ギャートルズ』などに出てくる「マンガ肉」は、いったい何の肉なのだろう?
●『干物妹! うまるちゃん』の家うまるが「だっらああああー」とするのは、科学的にもナットクの態度である。
●『ワンパンマン』のヒーロー・サイタマのパンチがすごすぎる。ホントに打ったら、地球が滅亡!
●不思議!『スプラトゥーン』のインクは、なぜ色が混ざらないのだろう?
●『ドラえもん』のしずかちゃんは、お風呂に入りすぎではないかなあ。
●『文豪ストレイドッグス』に出てくる文豪たちが、モノスゴク強くてビックリだ!
●なんとスバラシイのだろう。『マジンガーZ』のおっぱいミサイルを絶賛する!
●『ドラゴンボール』で行われた「重力100倍の部屋」の修行がものすごい!
●『サザエさん』や『忍たま乱太郎』のキャラは、ずっと年齢が変わらないが、それはどうして?
●『おそ松さん』の十四松。やることが人間離れしているけど、ホントに人間なのだろうか!?
●『進撃の巨人』に登場する立体機動装置。あれがあれば、実際に巨人を倒せるのか?

この記事で紹介した書籍ほか

空想科学読本 滅びの呪文で、自分が滅びる! (角川文庫)

著:
イラスト:
出版社:
KADOKAWA
発売日:
ISBN:
9784041026373