ラノベ絵師、経済的不利でも「やる」理由

マンガ

更新日:2012/5/25

 ラノベの魅力は絵と文の相乗効果 といわれている。それでは、著者は自作に絵をつける“絵師”の存在をどう考えているのか。『ソードアート・オンライン』でイラストレーターのabecさんとコンビを組む著者の川原礫さんは「ライトノベルにおいてはイラストは必要不可欠……どころか作品の半分を構成する要素。本当に貴重な、かけがえのない存在」だと言い、自作とベストマッチのイラストだと絶賛する。

ライトノベルの知られざる歴史

 一方のabecさんは下記のように述べる。

 「小説のイラストの仕事は、文章を読んで想像して、それを絵として原稿に落とし込んでいきます。文章通りだとイラストとして映えなかったりする事もあるので、構図を捻ってみたり、拡大解釈してみたり、書いてない部分を想像してみたり、あえて嘘をついてみたりと試行錯誤です」  

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 電撃文庫の三木一馬副編集長によると、絵師さんの多くは、シリーズ一本だけの仕事で生活するには金銭的にすこし心許ないという。アニメ化されたりグッズが販売されれば別だが、たくさんの仕事を請け負い時間に追われながらイラストを描く必要がある。経済的に有利とは言えない職業だが、それでも好きだからやる。それこそ創作の原点だ。

 そして絵師は、活字と一体化することで作品が輝きを増すことを知っている。ただの挿絵ではなく、本が成立するためになくてはならないもの。ラノベは発明に近いジャンルなのかもしれない。

 abecさんが常に心がけているのは、つぎのことだ。
「基本的には本文を読んだイメージを崩さないよう……それにプラスしてイラストとして映えるように考えつつ、できるだけ性格や世界観がキャラクターから見えるように記号を選択して描いています。キャラクターが生き生きと表情豊かに描ければと、そしてそれが伝わりやすい構図を心がけています」  

(ダ・ヴィンチ4月号 「走れ! トロイカ学習帳」より 取材・文=北尾トロ

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