岡田准一『白い巨塔』唐沢寿明版との“決定的な違い”に反響続出「印象が全く変わるね」

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公開日:2019/5/30

『白い巨塔』(山崎豊子/新潮社)

 テレビ朝日開局60周年ドラマ『白い巨塔』が5月22日(水)~26日(日)の5夜連続で放送された。同作は、これまで何度か映像化されている国民的大人気作。放送にあたって前作と様々な比較がなされたが、特に大きく異なったのは“財前と里見の友情の描かれ方”であろう。視聴者からも「財前と里見先生との友情がメインだったのかな」「財前教授が心を開いて甘えられるのは里見医師だったんだろうな」などと評する声があがっている。

 同ドラマは、作家・山崎豊子氏による大ベストセラー小説が原作。大阪の大学病院を舞台に、医療ドラマの枠を超えて人間の本性に迫った作品で、刊行から50年経った今なお多くの人々に愛され“不朽の名作”と名高い。これまでの映像化作品では主人公の財前五郎役を、1978年から79年にわたって田宮二郎さんが、2003年には唐沢寿明が演じており、今回は「V6」岡田准一が熱演。医師として財前とは“正反対”の考えを持つ同期の里見脩二役は、松山ケンイチが演じ、物語の設定は2019年に置きかえられ、現代の最新医療ならではの演出が追加された。

 前作との決定的な違いは、死の直前、財前が「自分の場所」として大切にしている屋上でのシーン。前作では、財前とともに屋上に来たのは愛人の花森ケイ子で、普段の強気で傲慢な財前がケイ子の前だけは弱々しい姿を見せていた。しかし、今作ではケイ子ではなく同期の里見に変更。“財前の特別な場所”に愛人ではなく同期を連れてきた改変について、視聴者からは「財前教授が心を開いて甘えられるのはケイ子ではなく里見医師だったんだろうな」「最後に屋上で里見先生と過ごすシーンに変わってたのが良かった」「屋上に上がるのがケイ子とでなく里見とだったのはしみじみ嬉しかった」などと高評価の声が多くあがった。

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 また、財前が里見に宛てた手紙(遺書)の内容も、前作より一層“里見との友情”を感じさせるものになっている。今作では、「治療開発を里見先生とともに、自らの手で成し得なかったのは痛恨であり」「君とともに病に苦しむ人々を治療し、その生命を紡ぐ医師として人生を全うできたこと、誇りに思う」と“里見とともに”という無念さを記し、最後は「里見、ありがとう。いつか、また、きっと。」と感謝の言葉で締めくくられている。

 一方、前作では感謝は述べられておらず、「僕は君がその(癌治療の発展)一翼を担える数少ない医師であると信じている」「君には癌治療の発展に挑んでもらいたい」と、あくまでも“同志”として里見に言葉を送っている。このように今作で“直接的な”里見への感謝の言葉が追加されたことに対して、視聴者からは「最後の手紙は里見への感謝の言葉で締めたか」「今回は、財前と里見先生の絆とか友情を激推しするのね」「岡田くんの白い巨塔は、里見先生と財前先生の友情がメインだったのか」「財前の人間性の印象が全く変わるね」などと、“里見との友情”の描写に大きな反響が寄せられた。

 田宮版、唐沢版、岡田版… 好みは人それぞれだが、どの作品も魅力的に仕上がっているのは原作が持つ力が強いからこそかもしれない。