奇怪な姿でパンダを抱く謎の人間…!? 正体が分かるとパンダの本当の姿が見えてくる

エンタメ

2019/7/24

『Panda Love 知られざるパンダの世界』(エイミー・ビターリ:著、市前奈美:訳/産業編集センター)

 奇怪な格好をした人間が、すやすや眠る赤ちゃんパンダを抱いている…!?
 実は、ここに写っているのはパンダの飼育員だ。着ぐるみにはパンダの糞尿のにおいが染み込ませてあり、赤ちゃんパンダがやがて野生に帰されるまでに人間に慣れすぎないよう、できる限りパンダに近い格好をして保全や飼育に取り組んでいる。

 私たちが今まで見たことのなかったこんなジャイアントパンダの姿を捉えて1冊にまとめたのが、写真集『Panda Love 知られざるパンダの世界』(エイミー・ビターリ:著、市前奈美:訳/産業編集センター)だ。ナショナルジオグラフィック誌で活躍する写真家である著者が、中国・四川省の「中国パンダ保護観察センター」に密着し、3年にわたって撮り続けたジャイアントパンダと、その保護に真摯に取り組む人々の姿がおさめられている。

 愛らしいフォルムとお茶目な動きのジャイアントパンダは、日本の動物園やメディアでも大人気。しかし、実際中国の山奥に生息している野生のジャイアントパンダは絶滅の危機に瀕している。中国パンダ保護観察センターは、そのパンダの繁殖、そして生まれた赤ちゃんパンダが2歳になるまでの飼育を行い、その後野生に帰す活動を続けている施設だ。

 本書には、センターで飼育されているパンダと飼育員がふれあうほほえましい様子も数多く掲載されており、ページをめくるごとに頬がゆるんでしまうような可愛い写真も!

 一方で、まだ解明されていないことも多く非常に困難なパンダの繁殖・飼育に、懸命に取り組むスタッフの姿も克明にとらえられている。パンダの体重測定や健康管理はもちろんのこと、野生での餌の見つけ方や木の登り方、天敵から身を守る方法など、パンダが野生で生き抜くために必要な多くのテクニックを「人間」が教えているのだ!

 必死の保護活動によって、野生のジャイアントパンダの数は増えつつあるが、絶滅が近い、危機的状況であることにはまだ変わりがない。

 人里離れた山奥に生息している、野生動物としてのジャイアントパンダの本当の姿にも密着した1冊。動物と人間との関わり方についても改めて考えさせられる写真集だ。