嵐・大野智「小学生のとき漫画家になりたかった」

芸能

更新日:2012/5/25

 現在、貴志祐介の本格密室ミステリー、防犯探偵・榎本シリーズが嵐の大野智主演でドラマ化され人気を呼んでいる。『怪物くん』とは一転、ドラマ『鍵のかかった部屋』では、謎めいた“セキュリティおたく”に挑戦している大野智。原作者と演者、それぞれの立場でものづくりに関わる2人が、本作にかける思い、作品から得た発見をダ・ヴィンチ6月号の特集「男と、本。」のなかで対談し語っている。

advertisement

 
 対談はそれぞれの趣味の話にも及び、絵画や造形の制作が趣味で大野初の作品集となった『FREESTYLE』が出たきっけや、制作の楽しさについても語っている。

――『FREESTYLE』の巻末インタビューで、人が好きでやっていることをなんでも「才能」って言葉に置き換えて語るのは違う気がする、と話されていたのが印象的でした。

大野 特別な才能があるんだね、ってよく言われたんですけどね。そんな人いるのかな?って思うんですよ。たしかに、絵をまったく描いたことのない人が初めて描いたらめっちゃうまかった、とかだったらその人は特別なのかなとは思いますけど。最初はみんな下手だと思いますから。「うまくなりたい、ここまでのレベルにいきたい」って思うから失敗してもまたやっていくだけのことですよね。それに、好きなことなら結構いろいろなことを思いつくんですよ。たとえば、ここにある紙コップで何か作れと言われたら、なんとでもできる。どんどんアイデアも浮かんでくるし。先生はそんな感じありますか?

貴志 そういう快感はたしかにありますね。たとえば自分の書いた登場人物が勝手にしゃべり始めたり喧嘩を始めたりとかしだすのが、書いていて一番楽しいところです。

大野 僕は文章を書くことはできないけど、今言ったみたいな、作っているとどんどんアイデアが浮かぶというのが、先生の場合はたとえば登場人物の台詞だったりするのかな、って感じがします。

――小説の登場人物がそれ自体生き物めいた感じがするところが。

大野 そうです。絵だって、完成したら生きてるような感じするし。

――大野さんは、やったことがない分野に挑戦してみたい気持ちはあるんですか?

大野 興味あったらやりますけどね。興味なかったら、まったく手をつけない。たとえば、小説書けって言われても、多分やらないと思います。あらすじだけでも書くのは難しいと思うので、そこから細かい部品を埋めて一つの物語にしていく作業はとてもできないです。話がまとまらなくなるから。僕、漫画家になりたいと思って、小学校のときに描いたことがあるんです。でも、4コマ漫画が3コマで終わったりするんですよ(笑)。しかもオチがない。こりゃダメだな俺って。

――どんな感じの4コマなんですか?

大野 その3コマで終わったのは……、トイレに行きたくなって、入って、トイレットペーパーがない。……何がおもしろいんだコレ?って(笑)。貴志先生は、小説を書くときに人間観察をされるんですか?

貴志 キャラクターを書き分けるのに、頭の中だけで考えるとみんな同じになっちゃうんですよ。なのでできるだけいろいろな人を見ています。たとえば大野さんのようなキャラクターは普段周りにいないので会いたくても会えない(笑)。だからすごい貴重な機会ですよ、これは。

――ぜひ大野さんも小説に登場させてください。最後に、原作者からドラマの榎本径に一言何かいただければと思うんですが。

貴志 小説で書ききれなかった部分を、ドラマで観たいなと思います。小説ではやはり謎解きが主なんで、恋愛部分をそんなに書けない。ドラマではそういう部分がかなり膨らんでくるんだろうなと楽しみにしてますね。青砥純子さんと進展するといいなと。

大野 どこまでいくんですかねぇ(笑)。

取材・文=杉江松恋、鈴木夏希
(ダ・ヴィンチ6月号 「男と、本。」より)