「料理が苦痛」は人生で大きな損をする! だからこそ学びたい12000人の料理嫌いを救ってきた料理教室の教え

食・料理

公開日:2019/10/1

『ようこそ「料理が苦痛」な人の料理教室へ』(本多理恵子/KADOKAWA)

 神奈川県鎌倉市にちょっと変わった料理教室がある。生徒は手ぶらで来て、先生がやることを見て、できた料理を食べて帰るだけ。いままでのべ12000人の生徒が訪れ、リピート率は90%を超える。生徒の多くは「料理が苦手」な人。だからこそ、普通の料理教室のように、エプロンやふきん持参で、切ったり巻いたりなどの実習はここではなしにしたという。

 教室を主宰する本多理恵子さんは、昨年『料理が苦痛だ!』(自由国民社)を出版。料理レシピ本大賞2019で、エッセイ賞を受賞した。「料理が苦痛」とは、本多さんの思いであり、料理教室に来る生徒さんの思いでもある。本の中では「料理が苦痛ならいったんやめてみればいい」という提案をし、たくさんの反響があったという。

 「とはいえ、食事は毎日のこと。苦痛だからといって、やらなきゃいけない人がいるもの理解しています。外食は高くつきますし、市販のお惣菜を買っても、塩分や油分などが気になる。家族の健康も考えなくてはなりません。何よりも料理のたびに作りたくない、面倒くさいという気持ちが湧き上がってくるのだとしたら、毎日が憂鬱なはず。その気持ちが続くことは、人生を損していると思うんです」と本多さん。

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 本多さんの新刊『ようこそ「料理が苦痛」な人の料理教室へ』は、苦痛でも料理をしなくてはならない人に向けて、人生を損しないようにと書かれたものだ。ここではどうしたら苦痛が抜け出せるかについて、本多さんが本の中で提案するヒントの一部を紹介しよう。

ヒント1 味付けはあとから足せばいい

 「味が決まらない」「おいしくできない」など、味付けがうまくできないことで、料理に苦手意識を持つ人は多い。そんな人への本多さんのアドバイスは、味付けはあとからすればいい、ということ。

 「たとえば肉と野菜を炒めて、味が薄いと思うなら、お皿に盛ったあとに塩、こしょうなどをかけたっていいと思うんです。自分で調整できるのが家庭料理のメリットだから、完璧を求めなくていいんですよ」と本多さん。

 本の中では、豚肉ともやしをフライパンで蒸し焼きにし、ポン酢をつけて食べる料理のレシピも紹介されている。

ヒント2 献立が思いつかないなら、炭水化物+汁でのりきる

 料理が苦手で、献立さえ思いつかないというのであれば、炭水化物を中心にしたメニューにするといいという。本多さんが提案するのは、混ぜご飯、チャーハン、パスタのいずれかにすること。

 「それらはおかずなしに、単品でも主役になるメニューだからです。だからといって、何も凝ったものを作る必要はありません。たとえば本のなかでは、ちくわとゆかりふりかけの混ぜご飯を紹介していますが、これは温かいご飯に、ちくわの小口切り、ゆかり、オリーブオイルを混ぜただけのもの。でも、ちくわでたんぱく質がとれますし、オリーブオイルを加えることで、冷めてもしっとりとして全体がまとまります」と本多さん。

 汁ものは「白だし」をお湯で溶き、好みの具を加えた超簡単なレシピが本の中で紹介されている。

 このように工夫次第で、いくらでも料理は簡単になる。自分で手を動かすことで気付きが生まれる。苦痛とまでいかなくても、日々面倒に感じているのであれば、解決策を見つけてみてはどうだろうか。

【プロフィール】
本多理恵子
鎌倉で鎌倉野菜の料理を中心に提供するカフェ「Caf´e Rietta」を経営しながら手ぶらで見るだけの料理教室を主宰。2007年の開講以来、生徒数はのべ1万2000人、リピート率は90%を超える。
公式HP:Caf´e Rietta
※10月9日19時より、銀座蔦屋書店で新刊の発売記念のトークイベント「作らないで聞くだけ!本多理恵子のお気軽料理講座」を開催。本多さんが本で書ききれなかった、さらに踏み込んだ料理の苦痛からの抜け出し方を提案します。イベントの詳細は、蔦屋書店イベントホームページ(https://store.tsite.jp/ginza/event/cooking/9687-1654150917.html)でご確認を。