1年で最も面白かった小説を決める「山田風太郎賞」を犯罪巨編『欺す衆生』が受賞!

文芸・カルチャー

2019/10/24

 1年間で最も「面白い」と評価されたエンタテインメント小説を決める文学賞「山田風太郎賞」の選考会が、2019年10月18日(金)に開催された。月村了衛の長編小説『欺す衆生』が受賞作に決定し、「おめでとうございます! 本当に傑作だから読まれてほしい」「めちゃくちゃ面白い作品だから嬉しい」と話題を呼んでいる。

 戦後日本を代表する大衆小説家の名前を冠した「山田風太郎賞」は、有望な作家の作品を発掘・顕彰するために創設された賞。対象となるのは毎年9月1日から翌年8月31日までに書籍として発表された、長編および短編の文芸作品だ。

 『欺す衆生』は戦後最大かつ現代の詐欺のルーツとされる「横田商事事件」の残党・隠岐が主人公。かつての同僚・因幡に導かれるがままビジネスを再興した隠岐は、詐欺の魅力に取り憑かれることに。それはやがて国家を欺く一大事業へと発展していく―。

 現代日本を舞台に、圧倒的な筆力で描き出されるのは人間の業と欲望。作品に触れた読者からは「想像以上に面白くて一気読み。まさに詐欺の見本市のような内容だった」「主人公がいつ破綻するのか、ゾクゾクするような感覚がたまらない。ハードボイルド調の文体につられてあっという間に読んでしまった」と高く評価されている。

 作者の月村はテレビアニメの脚本家として活躍した後、2010年に『機龍警察』で小説家デビューを果たした経歴をもつ。ハードボイルドな作風で知られ、これまでに「日本SF大賞」や「日本推理作家協会賞」などの賞に輝いてきた。

 今回の選考会では、作家・夢枕獏が選考委員を代表して「善人がどんどん詐欺の才能を開花させながら深みにはまっていく。『欺す衆生』は勧善懲悪の話ではないが、エンタテインメントとして考えるとこの作品が一番優れているのではないか、ということもあり、受賞となりました」という選評を発表。

 また月村も10月19日(土)に自身のブログを更新。「来年は私の作家生活十周年で、山田風太郎賞も今回で十回目、この節目の年に受賞できたのはまさに奇縁であると、感慨もひとしおです。本当にありがとうございました」と受賞の喜びを綴っていた。

 数ある小説のなかから選ばれた注目の“犯罪巨編”を、ぜひ手に取ってみてほしい。

『欺す衆生』(月村了衛/新潮社)

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