数学ニガテ族を減らす方法を真剣に考えてみた
公開日:2019/12/4
こんにちは、「数学のお兄さん」こと、横山明日希です。小学生のとき「算数」は得意だったはずなのに中学生となり、教科名が「数学」に変わった瞬間に、「数学ニガテ!」となる人は、多数いると思います。さらに不思議なことに、もう授業から解放されたはずの大人にも「数学」はニガテ意識を持たれています。
数学を生業とする僕は、もちろん数学を愛しています。「数学っておもしろいかも!」そんな風に思ってくれる人が1人でも増えるよう、日々執筆やイベントなどで活動しています。
「数学ニガテ意識」は、いつ、どこから始まるのでしょうか? 数学がニガテになる瞬間は、テストの点数が下がったとき、授業がつまらなくなったときなど、理解が及ばなくなったときと言われています。それが起こりがちなのが、1次方程式などxの値を求める「文字式」の問題。それは、中学1年生で始まります。文字式を理解できないとその先に待ち受ける関数や2次方程式などを解くことができず、もうお手上げ状態です。文字式とは別に、図形、グラフ、確率、データ整理と、つまずきポイントはどんどん増えていきます。そして、授業は容赦なく進んでいきます。気が付けば、あっという間に中学を卒業してしまいさらに難解な「高校数学」が待ち受けているのです…。
あ、誤解しないでください。僕は、みなさんを脅かして「数学嫌い」にしたいわけではないのです。逆に「つまずきポイント」をしっかりクリアしていけば数学は絶対に楽しい! 数学は人生の味方になってくれる! とお伝えしたいのです。そこで、キモとなるのが「中学数学」です。いかに、「中学時代の数学」を楽しく学べるか? 好きになれるか? がカギとなるのです。
数学用語って、ちょっと難しいと思いませんか? 単項式と多項式とか、ヒストグラムとか、連立方程式とか、中点連結定理とか! これって、名前はちょっとイカツイのですがひとつひとつの単元の内容を紐解いていくととても便利だったり、意外と簡単だったり、場合によっては、ちょっとカワイイなんて思ったりします。
そこで! 中学で習う数学の単元の特徴や性質を人気イラストレーターの吉本ユータヌキさんにこれでもか!というくらい、語りつくし、「数学」に対するニガテ意識を払しょくしてもらうための本を一緒に作れないか、考えてもらいました。超・文系の吉本さんの脳内は以下の通り。
いかがでしょうか? 単元をキャラクター化し、彼らを研究する数学博士の冒険というストーリーで、まとめてみました。キツネ、ブタ、クジャク、プリン、雑巾など、一見数学と無関係なキャラたちが、数学と絡み合って登場します。例えば「因数分解」。因数分解って、共通の数や文字をまとめて、式をわかりやすく整理整頓することです。整理整頓…整頓…とん…トン…豚…ブタ! というわけで、「因数分解」の単元には、整理整頓が得意な、キャラ「整理整豚」が登場します。
どうですか? これなら記憶に残りそうじゃないですか? 漫画は、コミカルに楽しく進みますが、次のページからは単元の基礎から大事なところまでをしっかりとていねいに解説していきます。
最後にはポイントを押さえた練習問題もあります。数学がニガテな人がどこでつまずくか、そのことをずっと意識し続けながら完成させました。
漫画パートを担当してくれた吉本さんには、数回にわけて中学数学の授業を行いました。文系の吉本さんから出てくる質問は「なんで“関数”っていう名前なんですか?」「“方程式”ってなんでこの漢字なんですかね?」なんて、いままで僕が当たり前だと思っていたことばかり。教えている僕にとっても勉強になりました。
数学ニガテ意識を克服するには、まずは「楽しい」と思える内容や単元を見つけること。そのためには、「第1つまずきポイント」の中学数学を放ったままにしないこと。現役中学生はもちろん、「もう、数学お手上げ…」と思っている高校生、「数学」と聞いただけで、しかめっ面になってしまう大人もまずは「中学数学」に戻ってみましょう。
願わくは、推し単元を見つけ、そこから数学の世界に踏み込んでいく。そんな体験をみなさんにしていただきたいと思います。
【この記事を書いた人】
横山明日希(よこやまあすき)
math channel代表、日本お笑い数学協会副会長。「数学のお兄さん」として活動を開始し、これまでに全国約200か所以上で講演やイベントを実施。著書に『笑う数学』(KADOKAWA)などがある。
Twitter:@asunokibou
吉本ユータヌキ(よしもとゆーたぬき)
イラストレーター、漫画家。2014年より、SNSを中心に作品を発表。Twitter、Instagramなど総フォロワー数はおよそ12万人(2019年現在)。主に2児の父親として、自身の子供の観察漫画を描いたり、趣味の音楽や食べることなどをテーマにしている。著書に『おもち日和』(集英社)などがある。
Twitter:@horahareta13
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