黒柳徹子「なんという美しい表現」 耳が聞こえず、視力を失っていく少女のTwitter投稿が絵本に。『最初に夜を手ばなした』に絶賛の声

文芸・カルチャー

2020/3/28

『最初に夜を手ばなした』(椿冬華/マガジンハウス)

 難病を抱えた著者が自分の半生について綴った絵本『最初に夜を手ばなした』が、2020年3月12日(木)に発売された。読者の心を打つ内容に、ネット上では「彼女が経験してきたことを思うと、自然と涙があふれてきました」「色々なことを考えさせられる内容だから、子どもたちにも読ませたい」「色んなことを失くしていく切ない気持ちに胸が詰まった」といった声が続出している。

 著者の椿冬華は、先天性聾唖のため生まれつき耳が聞こえなかった。さらに幼い頃に右目を失明し、左目も10万人に6、7人と言われるアッシャー症候群により次第に視力が失われていくことに。現在はトイレットペーパーの芯を覗いたような視界しか残っていないという。

 本書は彼女の病気が進行して趣味が制限され、他人との関わりが困難になっていく過程を描いた一冊。たんに事実を描写するのではなく、夜盲症になったことを「最初に『夜』を手ばなした」と表現するなど、リリカルで独創的な文章とイラストが用いられている。

 作品の元となったのは、昨年6月に著者がTwitter上に投稿したコミックエッセイだ。難病と向き合いながらも人生に悲観せず、前向きに生きようとする姿が共感を呼び、彼女の投稿は3万件以上の「いいね」を獲得。力強いメッセージに触れた人からは、「頑張ろう、頑張りたいという気持ちになりました。ありがとう」「限られた時間を大切にしていこうと思えるようになった」「読ませていただき心に沁みました。私もちゃんと『今』を生きたいです」と大きな反響が上がっていた。

 本書の刊行にあたって、タレント・エッセイストの黒柳徹子もコメントを寄稿。「作者の椿さんは、耳が聞こえなかった。そこに目もだんだん見えなくなってきた。そのことを椿さんは、『夜を手ばなした』と表現している。なんという美しい表現でしょう」と、豊かな表現力を称賛している。

 短くも切実なストーリーは難聴・弱視の世界観に共感を誘うだけでなく、自分の生き方を振り返るきっかけを与えてくれるはず。ぜひ絵本いっぱいに表現された“心の叫び”に触れてみてほしい。

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