「続・かっこいい老い方」内田 樹×名越康文×橋口いくよ 電子ナビスペシャル鼎談
更新日:2013/8/13
文=橋口いくよ 写真=川口宗道
橋口 本誌7月号(6/6発売)の鼎談で「かっこいい老い方」について語りました。その時、日本人男性のかっこいい老い方は見つかったのですが、女性の老いのロールモデルがなかなか見つからないって話になって……。
名越 そうなんですよね。僕が見る限りでは、まず、40代のロールモデルがもう長らくいないんですよ。
橋口 確かに。雑誌に出て生活スタイルを提案したり、ファッションを提案したりしているモデルさんのような人は、憧れはしても、ロールモデルにはなかなかならないですね。
名越 そうですよ。あんな足の長い人たち。
橋口 あえてセレブっぽく綺麗に日焼けしたりして、外国人みたいな感じでね。
名越 あの感じは、なんかちょっと男性化した身体のようにも感じますよね。鍛えられて皮下脂肪が削げ落ちてる感じというのかな。
内田 白人にいますよね。大胆に焼けていて、痩せて筋肉質な、鳥類のような女性。
橋口 鳥類! 私、それがかっこよければ嫌いじゃないですけどね。やるならそうやって、海外セレブみたいにとことんやればいいんだと思う。だけど、日本の女性にはなんかこう、そこに迷いが見えるのが見ていて辛くなってきてしまう。私はこれで行くのよって見せてくれたかと思いきや、若い子への憧れを残した感じがチラリと見えてしまうんですよね。若者に憧れるなら憧れ続ければいいし、鳥類系で行くなら行くっていう潔い姿を見たい。
内田 徹底できてないんだね。
橋口 日本人だからそうなるのも仕方ないのかもしれなけれども。そのへん、ぐさっと切り込んで来たのが、ミス・ユニバース・ジャパンの元ナショナルディレクターのイネス・リグロンさんだったと思うんですよね。私のメソッドに沿って徹底してやれば、日本人女性は世界一にもなれるっていうような自信があって、女の子たちを日焼けさせて体作って、堂々とした所作を教えて、本当に世界大会で優勝させちゃったし。風当たりも強かっただろうに、徹底していたって思ったなあ。取材でお会いしたんですけど、やっぱり私もすごく影響受けたし。
名越 イネスさんはすごく上昇志向の強い方ですよね。
内田 背筋があるような?
橋口 あるある。背筋があって、腕もほどよく鍛えられてて、胸元を堂々と出して、少しぐらいのシミなんてなんなのって感じで日焼けしてて。
内田 それも一つのラインではあるよね。
橋口 迷いなく徹底すればそうなんですよ。ただ、あれは海外のロールモデルなので……。
内田 そう。一つの純化の方向性としては、やっぱり日本人に似合わないんだよね。
名越 一部の人向けですよね。