好きな男子と話せない→相手をデスゲームで詰問! けなげすぎる女子のギャグ漫画

マンガ

公開日:2020/5/10

『けなげなですげ』①巻(コニシ リュウイチ/白泉社)

「はっ…ここは…?」

 目が覚めると、男は椅子に縛り付けられており、どこだか分からない部屋にいる。目の前のモニターからは「お目覚めのようだね、伏見くん」との声。拘束を自力で解くことは不可能な状態だ。

 脱出には命を懸けたクイズに勝たねばならず、心拍数が上がると電動ノコギリが自分の体へと迫ってくる! そんな状況下で、ぶつけられた質問とは……!?

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「好きな女の子とかいる?」

 想定外の質問に動揺する伏見くん。読んできた読者も動揺するだろう。

 ここまで書いてきたのは、コニシ リュウイチの漫画『けなげなですげ』①巻(白泉社)第一話のあらすじなのだが、この作品は実はギャグ漫画。同級生の伏見大悟に片思いをする四宮音羽が、「好きなあの人の秘密を知りたい。でも学校では恥ずかしくて直接なんて話せない……!」と思い悩んだ結果、デスゲームを始めてしまうというブッ飛んだ設定の作品なのだ。

 なおマンガは1話10ページほどで、毎回1つのデスゲームが登場。デスゲーム以外のシーンでは学校での日常が描かれるが、「デスゲームはどこで行われているのか」「なぜ伏見くんは毎回目が覚めると謎の部屋に閉じ込められているのか」などは特に説明されない。が、逆にそこがいい。あれこれ難しい背景を付け加えないことで、ギャグの密度も、型破りなデスゲームのスリルとスピード感もより高まっているのが、この作品の特徴だ。

 なお冒頭に紹介した「好きな女の子とかいる?」の質問の後、伏見くんが戸惑っていると、四宮さんは「付き合ってる人とかいる?」と聞き方を変える。「あれっ、変えた? 問題変えたよね」と伏見くんはすかさずツッコむ。こうしたボケ&ツッコミのリズムも良く、手数の多い漫才を見ているような楽しさがある。

 その後の話でも四宮さんは、デスゲームで伏見くんの食べ物の好みを聞き出したり、伏見くんが仲よさげにしている女子との関係を聞き出したりして、伏見くんへのアプローチを徐々に開始。しかし、鈍感すぎる伏見くんは四宮さんの恋心には気づかない。このままだと2人の恋が実る前にデスゲームで命を落とす展開になりそうなので、伏見くんはモテ本でも読んで早く女心を学んでほしい。

文=古澤誠一郎