なぜ少年は祖父母を殺害したのか? 長澤まさみ主演「MOTHER マザー」原案の衝撃のノンフィクション『誰もボクを見ていない』「少年の生い立ちは想像を絶する」

社会

2020/6/19

『誰もボクを見ていない なぜ17歳の少年は、祖父母を殺害したのか』(山寺香/ポプラ社)

 2014年、埼玉県川口市で発生した一人の少年による祖父母殺害事件。同事件をベースとした映画「MOTHER マザー」の原案にあたるノンフィクション『誰もボクを見ていない なぜ17歳の少年は、祖父母を殺害したのか』(ポプラ社)が、ネット上で大きな注目を集めている。

 本書は毎日新聞記者の山寺香が、事件の真相について綴った一冊。加害者となった少年は埼玉県南部に生まれ、小学生になった頃から浪費家の母と2人で暮らしていた。やがて母がホストの恋人を作ると、家庭内暴力や性的虐待を受けるように。少年は母に傷つけられながらも必要とされることを願い、その想いは妹が生まれるとさらに強まっていった。最終的に少年は母親によって、祖父母を殺害して金品を奪うように追い込まれていく――。

『誰もボクを見ていない』は2017年に単行本が刊行された後、2020年4月7日(火)に文庫化。少年犯罪の本質に深く切り込んだ内容に、読者からは「同じ日本でこんな過酷に一日一日を生き抜いている子どもがいると知れただけでも、読んだ価値はあった」「少年が事件を起こすまでの生い立ちは想像を絶する。罪悪感を植え付けて追い込むというやり方が本当にひどい」「いくつも育児放棄の本などを読んできたけど、ここまで子ども当事者の動向を追った本はなかった。だからこそとても重たく、とても切ない」と評価する声が上がっていた。

 今夏公開される予定の映画「MOTHER マザー」では、「宮本から君へ」の映画会社スターサンズと「日日是好日」の監督・大森立嗣がタッグを結成。事件をベースとして、“母と子ども”の歪な関係をめぐる新たな物語が紡ぎ出される。

 物語の中心となるのは男たちとゆきずりの関係をもち、その場しのぎで生きてきた母・秋子。息子の周平は、秋子に翻弄されながらも彼女の愛情に応えようとする。やがて身内からも絶縁され、社会から孤立していく中で、母と息子の間には“絆”が芽生えることに。それは周平を一つの殺害事件へと向かわせる──。

 ミステリアスな母・秋子の役に選ばれたのは、実力派女優の長澤まさみ。初めてのオーディションで大抜擢された新人・奥平大兼が17歳の周平役を務め、阿部サダヲが秋子と内縁の夫になるホスト・遼を演じている。

 スターサンズの公式YouTubeチャンネルでは、すでに特報や予告映像が公開済み。予告映像を見て興味を抱いた人も多いようで、SNSなどでは「長澤まさみのこういう顔は見たことがない。怖さを越えた何かがあるのか? 楽しみだ」「予告編から重苦しいオーラを放つ作品。観るためには勇気がいりそう」といった声が上がっていた。

 児童相談所が対応する“児童虐待事件”の件数は増加の一途を辿り、深刻な社会問題となっている。大人たちが一体どんな風に子どもと向き合うべきなのか、本作を通じて考え直してみてはいかがだろう。

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