「町を封鎖せよ。さもなければ感染する」累計発行部数160万部突破『ペスト』のマンガ連載がスタート!

マンガ

更新日:2020/6/19

『ペスト』(カミュ:著、宮崎嶺雄:訳/新潮社)

 人類と伝染病の戦いを描いた文学小説『ペスト』が、新型コロナウイルスの流行をキッカケに再び世界中でベストセラーを記録した。そんな同作がコミカライズされ、2020年6月19日(金)からwebコミックサイト「Bバンチ」で連載を開始することに。

『ペスト』は、フランスのノーベル文学賞作家であるアルベール・カミュが1947年に発表した長編小説。作中では、1940年代のアルジェリア・オラン市を舞台に、高い致死率を持つ伝染病・ペストと戦う人々の姿がリアルに描き出されていく。封鎖された町の中で市民たちは愛する人との別れや孤立と向き合い、その様子は現在のコロナ禍に通ずるものがある。

 海外文学の名作として60年以上にわたって読まれ続けている同作だが、近年の増刷は平均で年間5,000部程度だった。しかし新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて“伝染病”への関心が高まった結果、書店からの注文が殺到する事態に発展。今年の2月以降だけでも実に36万4,000部が増刷されており、これはたった4カ月で70年分以上の数が読まれたことになる。ちなみに現在、累計発行部数は160万部にまで及んでいる。

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 そして今回、コミカライズを担当するのは『フロイデ』や『嫁はBL漫画家』などの作品を手掛けてきた車戸亮太氏。執筆にあたり彼は、「『ペスト』を読むと不安が和らぎました。今、僕らの周りで起きている色んな混乱が、約70年前に書かれた小説の中で同じように起きていました。僕にとっての“ペスト”とは何かと考えた時に、自分の中に巣食う不安や混乱だと思いました。それらと対峙する手段はマンガを描くことです。今回のマンガ化でより多くの人たちに『ペスト』を知って欲しいと思います。そして少しでもみなさんの不安を和らげることが出来れば幸いです」といったコメントを寄せている。コメディを描くことの多い車戸氏が、どのようにシリアスな『ペスト』の世界観を表現するかも注目すべきポイントだ。

 またプロローグでは、これまで混乱と無縁だったオラン市にペストの兆候が忍び寄る様が描かれている。謎の人物の独白シーンから始まる物語の展開は、これから起こる惨劇を静かに表しているかのよう。

 漫画ならではの描写は、すでに原作を読んでいる人でも新鮮な感覚で楽しめるはず。まだ読んでいないという人も、コミカライズであれば気軽に手を出しやすいのではないだろうか。この機会にぜひ、webコミックサイト「Bバンチ」で『ペスト』の漫画版をチェックしてみよう。

◆『ペスト』コミカライズの連載はこちら!
https://www.comicbunch.com/manga/bbunch/peste/