累計150万部の大ヒット、第2部も開幕! 「八咫烏」シリーズが人気の理由とは?

文芸・カルチャー

公開日:2020/9/21

※「第5回 レビュアー大賞」対象作品

烏に単は似合わない
『烏に単は似合わない 八咫烏シリーズ1』(阿部智里/文藝春秋)

 阿部智里の「八咫烏」シリーズの最新刊『楽園の烏』が、2020年9月3日(木)に発売された。ファンにとって待望となる第2部が幕を開け、ネット上で「待ちに待った第2部突入! 一気読みしてしまうくらい物語に引き込まれた」「続きが気になって眠れない! 次巻が早く出ることをひたすら願う…!」と話題になっている。

 本シリーズは、人間の姿に変身できる八咫烏の一族をめぐる物語。“金烏”と呼ばれる日嗣の皇子・奈月彦が統治する異世界・山内を舞台に、平安王朝を思わせる雅な風俗や魅力的なキャラクターたちの活躍が描き出されていく。まるで神話のようなスケールの物語は多くの読者を虜にし、累計150万部を超える大ヒットを記録している。

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 シリーズ第1作目の『烏に単は似合わない』は、世継ぎの后選びをめぐって有力貴族の姫君たち4人がバトルを繰り広げる……というストーリー。スリリングな物語の展開に、読者からは「よくある宮廷ものかと思ったら、まさかのどんでん返し。良い作品だった」「誰が悪者で誰が正義なのか? 最後まで読まないと分からない仕組みでとても面白かった」「小説を読んで『すっかり騙された』という感想を抱いたのは久しぶり」といった声が相次いだ。

 それ以降では、奈月彦とその従者・雪哉を中心としたストーリーが描かれていくことに。異世界の謎は巻を追うごとに深まっていき、第5作目の『玉依姫』では世界観が現実世界とリンク。さまざまな伏線を回収した第6作『弥栄の烏』をもって、シリーズの第1部は完結した。

 そして前作から3年ぶりの書き下ろし長編となる『楽園の烏』では、天敵・猿との大戦から20年後の山内が舞台に。動乱の時代を生き抜いた八咫烏たちの現在や新たな世代の台頭が描かれ、より一層スケールを増した異世界ファンタジーの世界がふたたび動き出す。

 同時に、「恋」をテーマに編まれた外伝集『烏百花 蛍の章』も文庫化された。シリーズ本編では描かれなかった、主要キャラクターたちの秘めた想いに胸が熱くなる傑作短編集だ。

 なお今年8月には、『楽園の烏』の刊行を記念して第一部の文庫カバーデザインがリニューアル。新カバーはイラストレーター・名司生による幻想的なビジュアルが特徴で、横に並べると全6巻のイラストがつながる仕組みとなっている。

 新章に突入し、ますます人気が加速する異世界ファンタジー。この機会に既刊を手に入れ、唯一無二の世界観に触れてみてはいかがだろう。

「あなたの予想を裏切る――」 4人の后候補の凄絶な争い『烏に単は似合わない』
第5回 レビュアー大賞

■「第5回 レビュアー大賞」特設ページ https://bookmeter.com/reviewer_awards/2020