小説家・有川浩、自衛隊に熱いメッセージ

文芸・カルチャー

2012/7/2


 映画『図書館戦争』も好評の小説家・有川浩。彼女が新刊『ラブコメ今昔』文庫版(角川書店)のあとがきで、自衛隊への熱い思いを綴っている。

ラブコメ今昔』は、広報自衛官の女子が鬼上官に夫婦の馴れ初め話を迫る表題作をはじめ、年下自衛官との遠距離恋愛を描いた「軍事とオタクと恋」など、“自衛隊員の恋愛模様”にスポットをあてた短編集。有川といえば、“自衛隊三部作”と呼ばれる『塩の街』、『空の中』、『海の底』といった著作も有名なだけあり、有川作品を通して“自衛隊萌え!”になった読者も多いはず。また、自衛隊員にもファンが多いらしい。

この『ラブコメ今昔』文庫版あとがきでは、“ラブコメディ”である作品の内容から一変、単行本発売後に起こった震災を意識したと思われるメッセージを記している。

まず、自衛隊はどんな命令であっても内閣総理大臣の命令には従わなくてはいけないことを踏まえた上で、「近年は非常に歯がゆい命令が多すぎました。/しかし、どんな理不尽な命令でも、彼らは命を懸けるんです」と書いている。

そして、警察も消防も同様だとし、次のように続ける。
「東北が苦難に見舞われたあの日、明らかに消防の職分であるはずの現場に機動隊が投入された一件に関しては、きっと疑問を覚えた方も大勢いらっしゃることでしょう。/機動隊は治安維持のエキスパートであって、消防のエキスパートではありません。適切な装備も持ってはいません。/適材適所という原則が無視されたことには未だに首を傾げざるを得ません」

推測するに、これは福島第一原発で行われた放水作業のことを指しているのだろうか。。実際にさまざまな自衛隊員に取材をしてきた彼女だからこそ、人一倍、強い憤りを覚えたのかもしれない。

文章の最後は、深い感謝の念で締めくくられているが、この想いの強さが、有川が描く自衛隊の魅力にもつながっているのだろう。

(ダ・ヴィンチ電子ナビより)