「今年もっとも泣けるマンガ」最有力候補は?

マンガ

更新日:2012/7/10


 友だちとの記憶が1週間ごとに消えてしまう少女と、それでも彼女と友だちになろうとする少年の切ない青春物語――。
一週間フレンズ。』(葉月抹茶 スクウェア・エニックス)が「切なくて泣ける」と話題になっている。

ほんわかしたタッチの表紙につられてジャケ買いした読者も多いようだが、「切ない」「胸がキュンキュンする」「ウルッときた」「やさしい気持ちになれた」と一見さん読者のハートもがっちり鷲掴みにしているようだ。

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 主人公は、友だちとの記憶が1週間で消えてしまう少女・藤宮香織と、そんな香織と友だちになるために努力する長谷祐樹だ。
記憶をめぐる物語といえば、『博士の愛した数式』や韓流映画『私の頭の中の消しゴム』、芦田愛菜ちゃんとトヨエツのW主演で話題のドラマ『ビューティフルレイン』など、泣ける名作が多い。

 この『一週間フレンズ。』のストーリーも、ただの記憶喪失ものではなく“ループ”の要素も入っているので、より切なさが増す。単なる記憶喪失なら一度記憶を失ってもそれ以降の記憶は積み重なっていく。でも、香織の場合は1週間ごとにリセットされてしまうのだ。せっかく友だちになれたと思っても、次の月曜日にはまた元通り。それでも諦めずに何度でも「友だちになってください」と言い続ける祐樹のやさしさやひたむきさに心が暖かくなる。こんなにも純粋に誰かと友だちになりたいと思って行動したことがあるだろうか?

 また、葉月の描くマンガは普通のストーリーマンガのコマ割りと4コマが混ざった変則的な構成になっているのだが、これが意外な効果をもたらしている。扱っているテーマはちょっぴりシリアスだが、ときおり挿入される4コマがコミカルな部分をうまく演出しているのでメリハリもつき、登場人物たちと一緒に笑ったり泣いたりできるのだ。

 曜日ごとに変わる香織の表情。18という数字や等比数列の話を思い出して涙する姿や週末になると寂しげに微笑む香織の笑顔には胸がきゅんとなる。

 祐樹の友達・桐生将吾を加えた3人の今後はいったいどうなるのか? ほろりと泣けて癒されるこの作品。秋頃には2巻も発売されるようなので、続きも楽しみだ。

(ダ・ヴィンチ電子ナビより)