非モテは“避モテ”の時代に!?

恋愛・結婚

公開日:2012/7/3


 今では一般的な言葉として定着している“非モテ”。今日に至るまで、非モテは、どのような変遷を辿ってきたのだろうか。
そのことについて考察しているのが、『宝島』8月号(6月25日発売)の特集「インターネットと非モテの15年史」。乙女男子ライターのふじいりょうが、男子の非モテとネットの関わりについての歴史をまとめている。

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 記事によると、いまにつながる日本の“非モテ”の源流は、90年代後半に登場した「脱オタク」という概念だという。オタクにとっての90年代は、マイナスイメージが色濃かった時代。そこで、インターネットが普及した90年代後半から2000年代にかけて、「趣味はそのまま持ちつつもさっぱりしたファッションスタイルを身に付けよう」というテキストサイトが誕生していった。その後、自虐ネタとしての「童貞」(=いかにモテないか)が勃興。同様に、非モテもあくまでネタとして扱われていたという。

 ネタからの転機が訪れたのは、’04年。2ちゃんねるに登場した「電車男」だ。その後、スレッドをまとめた書籍『電車男』(中野独人 新潮社)はベストセラーとなり、「別世界で生息」していた“モテ”と“オタク”が一気に距離を近づけた。さらに、ブログブームの波に乗り「非モテブロガー」が出現。「はてなダイヤリー」に非モテ論壇が形成されていく。このあたりについては、佐々木俊尚『「当事者」の時代』(光文社)にも詳しいそうだ。

 さらに、07年に「リア充」という言葉が誕生した。記事中ではTwitterやfacebookの広まりによって「リア充」が可視化されていったことを指摘。非モテが「アンチ・リア充」として対抗概念になったとも思われる。そして’08年に「草食系男子」が登場し、流行語に。この言葉が、本来の「モテるけれど女性に干渉しない男子」という意味から離れながらも定着した理由を、女性とのコミュニケーションがめんどくさいと感じる男性の増加にあることを示唆。筆者は最後に、モテないことが問題でなくなったいま、男性は「「モテ」にも「非モテ」にも疲れきって、「避モテ」を選択する人が増えているように思える」との見解を綴っている。

 ネットの発達とともに変化してきた“非モテ”のかたち。言葉の誕生がアイデンティティ形成に大きく関わることを考えると、今後、“非モテ”の意味がどのように転換されていくのか、気になるところだ。

(ダ・ヴィンチ電子ナビより)