「早くしなさい!」と無意識に使っていると… 子どもの自己肯定感を破壊する言葉/子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば③

出産・子育て

更新日:2020/11/18

「早くしなさい!」「ちゃんとしなさい! 」「勉強しなさい!」子どもに向かって、毎日こんな言葉をかけてはいませんか? 実は、子どもの自己肯定感をつぶす大きな原因になっているかもしれません。親が使う言葉を変えると、子どもの自己肯定感は高まり、学力も伸びるといいます。ためしたら「すぐに効いた」「成績が伸びた」と話題の書籍から、子どもたちの自信を回復させる「魔法のことば」の一部をご紹介します。

子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば
『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』(石田勝紀/集英社)

子どもの自己肯定感を破壊する3つの呪いの言葉
①「早くしなさい」

「子どもが傷つくような言葉は言わないようにしている」
「言葉がけにはじゅうぶん注意を払っている」

 こんなふうにお子さんとの会話に気を配っているお母さんたちでも、ついつい口にしてしまっている強力なネガティブワードがあります。

「早くしなさい」
「ちゃんとしなさい」
「勉強しなさい」

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 この3つのワードは、母親が子どもにかける言葉のトップ3であり、みなさんもきっと身に覚えのあることでしょう。口癖になっているお母さんも多いのではないかと思います。

 しかし、この何気ない(特にインパクトがない)3つのワードこそ、子どもの自己肯定感を破壊する、いちばん使ってはいけない「マイナス効果100%の呪いの言葉」なのです。

 手っ取り早く言ってしまえば、この3つの呪いの言葉を極力使わず、日常生活から葬り去ることができれば、子どもたちの心は前向きに変化していきます。

「なぁ~んだ簡単!」ですか? いえいえ、これが簡単ではありません。いくら頭でわかっていても、使わずにいられないのがママたちの現実だからです。

「早く起きなさい」「早く支度しなさい」「スマホ見てないで、早く寝なさい」…のような「早く」という言葉は、日常生活でママが最もよく使う副詞のひとつです。

 しかし、子どもと親の時間の感じ方には、大きな違いがあることをご存じでしょうか?

「人間が感じる時間の長さは年齢と反比例の関係にある」

 これはジャネーの法則といわれるもので、たとえば、10歳の子どもにとって1年の長さは人生の10分の1ですが、40歳の大人にとっては1年は人生の40分の1の長さに過ぎません。すなわち、大人のほうが圧倒的に時間を短く感じているという考えです。

 この法則に則れば、40歳の親の1時間は、10歳の子どもの4時間に相当することになり、少々乱暴な解釈ではありますが、大人に比べて、子どもたちの時間は4倍もゆっくり流れていることになります。

「早くしなさい!」
「今やろうと思ってたのに!」

 親子の間で起こるお決まりのひと悶着は、こんな体感時間のズレも大きな要因のひとつと考えられます。

 子どもたちの時間は、大人に比べ何倍も濃密で、ゆったりと流れているということを、うっすらとでいいですからまず覚えておいてください。

 さて「早くしなさい」のいちばんの問題は、お母さんの言葉が「アラーム」と化して、子どもをコントロールしている点にあります。

 たとえば「もたもたしないで早く学校に行きなさい!」と、お母さんが毎朝子どもに声をかける。どこの家庭でも繰り広げられている、よくある光景です。

 しかし、なぜこんな声がけを毎日繰り返すかというと、「時間になったら家を出る」という習慣が子どもにできていないからです。

「親が早くしないと遅刻するわよ、と怒鳴ったら家を出る」というルーティンが子どもに出来上がってしまっているわけです。

 親の「早くしなさい」が時計のアラームになってしまって、子どもは親が「早くしなさい」と言うまで行動を起こしません。アラームが鳴るまで取りかからないのは当たり前のことです。

 同じように、親が起こさないと朝起きないというのも、親が目覚まし時計をやってしまっているからでしょう。

 もうおわかりかと思いますが、親が「早く」を言い続ける限り、子どもは安心して時間を守らず、安心してぐずぐずし、行動を起こしません。

「早く」という親の言葉のアラームが習慣化し、子どもがそのアラームにコントロールされているのです。

 大人になっても、ひとりでは起きられない、定刻に家を出られない、待ち合わせに遅れる…など、遅刻が常習化してしまうのは、一部の例外を除いて、こんなところに大きな要因があります。

<第4回に続く>

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