いきなり主人公交代!? 第1話から危うさ全開『おそ松さん』3期スタート

アニメ

更新日:2020/10/20

おそ松さん
©赤塚不二夫/おそ松さん製作委員会

 いよいよ10月12日からアニメ『おそ松さん』3期が始まった。

 相変わらずニートで、なおかつ個性的な六つ子たち。このアニメは1期、2期、映画と六つ子たちのクズさをとことん描いてきた。どのような内容も視聴者の自己責任になる「自己責任アニメ」というのは「おそ松さん」を表す言葉であるが、提唱したのはファンでもアンチでもなく公式でおそ松が言ったことである。

「おそ松さん」では、どの期も第1話は何かを孕んでいる。1期1話はお蔵入り、2期1話はまるで異世界…3期はどうなるのかとひやひやしたが、視聴者の恐れと楽しみを裏切らない結果となった。

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 序盤から「ジェンダーバランス」「グローバル」という時代に合った言葉にぴったりの新キャラが登場する。インターネットで「きれいな六つ子」と言われていたイケメン六つ子もいる。1期、2期に登場した「F6」(エフシックス)という本人たちとはかけ離れた超美形キャラとも異なる、なんとなく「きれいなジャイアン」を思い出す新六つ子だった。

 声優に詳しい人ならいち早く、「きれいな」新おそ松さん役に大ヒットアニメ『鬼滅の刃』で主役の声を担当した花江夏樹さんが抜擢(?)されていることに気づいただろう。『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は10月16日に映画公開をひかえていたので、直前に花江さんが『おそ松さん』に出演することは話題性にも富んでいた。

 直後に、1期、2期、映画とまったく変わらない六つ子が登場する。

 彼らはコンビニのイートインをネットカフェのように使って長期滞在している。相変わらずの「クズ」である。コンビニの雑誌コーナーには自己啓発本が並べられているが、もちろんクズな六つ子には何の意味も持たない。自分たちのダメなところを嘆きながらも、長男おそ松から新六つ子のことを知らされて、すぐに「殺そう」と一致団結するあたりは「この人たち、変わらないなあ」と微笑ましくなってしまう。

 1期、2期の強烈さのおかげで、私たち視聴者もすっかり彼らの感覚に馴染んでしまったようだ。

 その後、六つ子は想像通りわけのわからない目に遭う。異世界に飛ばされ自分たちの声を担当している声優に会ったり、なぜかそれぞれのテーマカラーのう〇こになったりしながらも、なんとか3期には出演しない約束で人間の姿に戻った。もちろんそんな約束はすぐに忘れ去られる。彼らは初志貫徹と言わんばかりに、さっそく「シンおそ松さん」のイベントにトラックで突っ込む。一松は「壱ノ型…」とつぶやきながら、どこかで見たことのあるような羽織を着て登壇者たちを斬る。

 ファンの胸に、1期の第1話がよみがえる。いろいろなアニメのパロディをやり過ぎて、今やアニメ配信サイトでもDVDでも見ることのできない幻のエピソードだ。3期第1話は、大流行中の『鬼滅の刃』のパロディをやらかしてしまった。

「これ、またお蔵入りになるんじゃ…」

 SNSを見ていると視聴者の動揺が伝わってくるが、おそ松さんは止まらない。

 クズな六つ子に殴られた瞬間、新おそ松さんたちから白い粉の入った透明な袋が出てきたときには、ヒロイントト子ちゃんの「やってやがったかー」の台詞と共に「やっちまったな」と多くの視聴者が心の中で声を揃えただろう。彼らは逮捕され降板、元の六つ子が3期も続投することとなった。

 この第1話は時事性という観点から見ると、少し背筋が寒くなるかも知れない。「否定しない」や「多様性を認める」という言葉が出てきたとき、おそ松たちはその言葉を軽々しく使うことの危うさをわかりやすい形で露 にしたのだ。

 最後に10月19日放送の第2話の予告があった。次回は新キャラが登場するそうだ。

「まあ3期もやってりゃいろいろあるかあ」

 予告でナレーションをする長男おそ松は諦めた口調でそう言うが、もともと『おそ松さん』は赤塚不二夫さんの『おそ松くん』が原作だ。3期続いているからといって新キャラが出るとはほとんどの人が予想していなかったのではないだろうか。

 次回が怖いような楽しみなような…妙な高揚感に包まれる。視聴者はこの気持ちを3期終了まで共有することになりそうだ。

文=若林理央

アニメ「おそ松さん」
放送時間:毎週月曜深夜 1:30~ ほか
原作:『おそ松くん』 赤塚不二夫
監督:藤田陽一
出演:櫻井孝宏、中村悠一、神谷浩史、福山潤、小野大輔、入野自由 ほか