2020年本屋大賞『流浪の月』の作者が「人類滅亡」を描く!【マンガ】で分かる『滅びの前のシャングリラ』の見どころ

文芸・カルチャー

更新日:2020/10/24

滅びの前のシャングリラ
『滅びの前のシャングリラ』(凪良ゆう/中央公論新社)

『流浪の月』(東京創元社)によって2020年本屋大賞を受賞した凪良ゆう氏の最新作『滅びの前のシャングリラ』(中央公論新社)が、2020年10月8日に発売。人類滅亡を定められた世界を描く衝撃の長編小説に、ネット上で大きな反響が巻き起こっている。

 同作の舞台となるのは、1カ月後に小惑星が地球に衝突することが明らかになった世界。作中には学校でイジメを受ける友樹や他人を殺したヤクザの信士、恋人から逃げ出した静香など、人生をうまく生きられなかった人々が登場する。荒廃していく世界の中で、登場人物たちはいかに最期の時を過ごすのか──。オムニバス形式の物語を通して、著者はさまざまな人生のあり方を描き出していく。

 人類滅亡という究極のシチュエーションで、あらためて問われる「幸せ」の価値。読む者の価値観を揺さぶる骨太なストーリーに、SNSなどでは「登場人物たちの気持ちが分かりすぎて泣きたくなる。まさしく凪良ゆうの真骨頂だ」「読む者の倫理観・死生観が鋭く問われる衝撃作。読書中、何度も何度も自分だったらと考えた」「物語に引き込まれて一気読み。心を揺さぶられるすごい1冊でした」「帯にある通り、まさに圧巻のラスト! 終盤のとある一節が心に刺さり、涙がただただ溢れ続けた」といった感想が相次いでいる。

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 また10月23日には、Twitter上で漫画家・夏ノ瀬いの氏(@stylish_gorilla)によるレビューマンガも投稿された。夏ノ瀬氏は作品のテーマや見どころを4ページにわたって詳しく紹介。さらに「漠然とした不安や疲れを抱えている人に是非読んでほしい」というメッセージも綴っていた。

滅びの前のシャングリラ

滅びの前のシャングリラ

滅びの前のシャングリラ

滅びの前のシャングリラ

 著者の凪良氏はリアリティのある心情描写に定評のある実力派作家。2006年に『小説花丸』に「恋するエゴイスト」が掲載されデビューを飾ると、各社でBL作品を次々と刊行。2017年には非BL作品である『神さまのビオトープ』(講談社)を刊行し、それ以降も新たな境地を切り拓き続けている。

 2020年本屋大賞を受賞した前作『流浪の月』は、数奇な運命に引き裂かれた2人の男女をめぐる物語。読者の予想を大きく超える展開に、「残酷な物語の中にある温かさに包まれた。読んでよかったーと思えた作品」「知っている言葉に当て嵌められない感情や距離、事象をこれでもかと分からせてくれる。とても悲しい物語ですが、救われます」「無垢な悪意に押しつぶされても求め合う2つの魂に心を揺さぶられ、読後何日経っても余韻が止まらない」など、絶賛の声が上がっていた。

 本屋大賞の受賞後第1作となる『滅びの前のシャングリラ』。気鋭の作家による新たな代表作の誕生を、その目でしかと見届けてほしい。