30代の約4人に1人にとって身近な問題。育児と介護を同時に担う「ダブルケア」の実態とは

暮らし

公開日:2020/11/19

ひとりでやらない 育児・介護のダブルケア
『ひとりでやらない 育児・介護のダブルケア』(相馬直子、山下順子/ポプラ社)

 仕事を続けながら子育てや親の介護をするのは、そう簡単なことではない。しかもその両方を同時に担わなければいけないとしたら、なおさらだ。2020年11月11日(水)発売の『ひとりでやらない 育児・介護のダブルケア』では、そんな「ダブルケア」の現状が当事者以外にも分かりやすく紹介されている。

 ダブルケアとは親の介護と幼い子どもの育児、2つのケアが同時にのしかかっている状態のこと。かつては意識される機会が少なかったが、新たに命名されたことで「自分もダブルケアかもしれない」と気付く人が増えているという。さらに日本は高齢化率が高く、晩婚化や少子化が同時に進行している状態。今後はダブルケアの担い手となる人が増えていくかもしれない。

 著者たちが2015年に行った調査によると、「数年先にダブルケアに直面する」と考えている予備軍を含むと、30代では約4人に1人がダブルケアを身近な問題と感じているという結果に。また50代では5人に1人以上がダブルケアに直面中か、過去にその経験をしたことがあるそうだ。

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 そこで同書では、知識がない人でも理解できるように具体的な事例を交えながらダブルケアの実態や支援のあり方を紹介。「ダブルケアのリアル」から始まり、「ダブルケアをとりまく『文学』と『制度』」、「広がるダブルケアネットワーク」など章ごとにさまざまなテーマが取り上げられている。

 ダブルケアは気づかないうちに始まり、仕事や家庭に大きな影響を及ぼすもの。辞職や経済的な困窮、家族関係の変化など、取り返しのつかない変化が突如として起きるかもしれない。「介護はもっと先だと思っている」という人こそ、いざという時に備えておく必要があるだろう。また「兄弟姉妹、親戚に頼れない」「仕事との両立が難しい」「経済的に困窮しやすい状況にある」といった状況の人も、どんな支援が存在するのか調べておくことが重要だ。

 今まで光を当てられてこなかった「ケア労働」のリアルを明らかにし、官民の制度や試みなどから救援策を考える一冊。ぜひ同書を参考にしながら、誰もが他人事では済まないケアの問題と向き合ってみよう。