バンドからボーカロイドまで多才にこなすミュージシャン。FLEET/fhánaの佐藤純一さんの本棚

更新日:2012/7/12

佐藤純一さん

<FLEET/fhána・佐藤純一>
ミュージシャン
Youtubeやニコニコ動画などの登場以前にFLEET としてホームページ上で発表していた楽曲が評判を呼び、2006年シングル『Brand new reason』でメジャーデビュー。近年ではアルバム『TRANSIT』をリリースした他、ボーカロイド楽曲も公開するなど発表の場にとらわれない独自の活動を続けている。さらに、s10rwのyuxuki、Leggysaladのkevinと、ブロードバンド前世代~ニコニコ動画ボカロ世代~ネットレーベル世代というインターネット3世代によるユニット、fhána(ファナ)を結成。 初アルバム『New World Line』は、多田葵、名嘉真祈子、towana、といった歌手からボーカロイドのIAまでが加わり、ポップ感あふれるサウンドとそれぞれの歌い手の瑞々しい声が魅力的なアルバムとなっているほか、さよならポニーテールや、 DECO*27の楽曲のリミックスなども提供している。

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インタビュー

――アニメやゲームでの感動を音楽に
◆クリエイターになったきっかけ、音楽制作するようになったきっかけは?
子供の頃家にカシオトーンというおもちゃのキーボードがあってそれで遊んでたのがきっかけ。ドラクエなどゲームの曲を耳コピしたり、カセットテープに自作曲を録音したりして遊んでました。当時は絵や漫画を描くのも好きでしたが。でもきっかけなんて何でもよくて人はなるべくしてなるんだと思います。例えば全く同じ環境で育った兄妹とかでも、趣味趣向は全然違ったりしますし。
◆創作活動の中で、心がけていること、大切にしていることは?
「エモーション」と「縁」を大事にすること。
◆尊敬しているクリエイター、影響を受けたクリエイターは?
坂本龍一、高橋幸宏、細野晴臣。この御三方には音楽的な面だけでなく多大な影響を受けています。フリッパーズギターもギリギリリアルタイムだったので、渋谷系的なものも好きでした。でも、あの時代に彼らがまとっていた知的な愉快犯のような雰囲気やポジションが好きだったのであって、たんに音楽ジャンルとして好きというわけではありません。また、ぼくはゲームも好きなので、シナリオも書いて音楽も作っている麻枝准は憧れです。ゲームと言えば、PC88という古いパソコンで日本ファルコムのゲームをかなりプレイしていたのですが、ソーサリアンやイースの音楽に参加していた古代祐三にも大きな影響を受けていると思います。
◆今、夢中になっているもの、気になっているものは?
TVアニメとビジュアルノベルが好きです。世の中の娯楽の中で一番心を大きく深く揺り動かしてくれます。絵と音と物語とキャラクターが一体になっているから好きなんだと思います。TVアニメ以外の邦画や洋画も好きですが、それらは僕にとっては「旅行」みたいなもので、一時、非日常を味わせてくれて気分転換が出来るようなもの。対してTVアニメやビジュアルノベルは、なにせ膨大な時間がかかるので、これは「旅」だと思っています。現実でも虚構でも「旅」に出るには生活など何かを犠牲にしなくてはならない。だけど、そうやって長い時間をキャラクターとともに過ごし経験を共有することでしか得られないものがある。それは僕にとって貴重な財産です。具体的な作品名を挙げるなら、『涼宮ハルヒの憂鬱』『CLANNAD』『シュタインズ・ゲート』『Fate』『魔法使いの夜』とかが好きです。
◆これからの夢や目標は?
「変革」「調和」
◆音楽制作をする上で、作品のアイデアはどのようにしてうみだしているのでしょうか?作品制作の過程も含め教えてください。
アニメやゲームで感動して、その感動を音楽で表現しようとしています。制作過程は普通です。主にピアノを弾きながら鼻歌を歌ったりしながらメロディとコードとリズムを考え、同時にアレンジの大まかなイメージも考え、頭の中で大体出来上がったらlogicに打ち込みます。fhánaの場合は、そこからメンバーと一緒にアレンジを詰めるのですが、主にSkypeやTwitterのDM、最近ではLINEも駆使してやりとりを進めます。さらに外部のミュージシャンやエンジニアさんと一緒に作業することが多いのですが、細かくイメージや要望を伝えてディレクションをして行く事によって、全体的に作品を構築していきます。

 

【初音ミク】Cipher サイファ【FLEET】【オリジナル】
代表作:【初音ミク】Cipher サイファ【FLEET】【オリジナル】
佐藤純一氏の初のボーカロイド作品。初音ミクのどこまでも伸びていくような声と、哲学的な歌詞とエモーショナルなメロディが奇跡的に組み合わさった作品。この曲を作るに至ったTwitter上でのやりとり『初音ミク文化論「身体性なきボーカロイドの跳躍」』も合わせて読むと、尚一層この作品が感慨深いものになるはずだ。
New World Line / fhána
代表作:New World Line / fhána
多田葵、名嘉真祈子、towana、ボーカロイドのIAら多彩なボーカリストを迎え発表した初公式音源。タイトルの”New World Line”とは”新世界線”という意味で、数多の平行世界の狭間で、fhánaが奇跡的に辿り着いた新たな世界を表現するというコンセプトでつくられている