第147回 芥川賞は鹿島田真希『冥土めぐり』、 直木賞は辻村深月『鍵のない夢を見る』が受賞

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/26

今回147回目を迎える芥川賞と直木賞。その2つの賞の選考会が今日の午後5時より築地・新喜楽で開催された。芥川賞が純文学の新人に与えられる文学賞に対し、直木賞は無名・新人及び中堅作家による大衆小説作品に与えられる文学賞。その受賞者が先ほど決定した。

なお、芥川賞候補作品の舞城王太郎『短篇五芒星』と直木賞候補作品の5作品が電子書籍化されている。この機会に読んでみてはいかがだろう。

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■第147回 芥川龍之介賞 受賞作品
鹿島田真希 『冥土めぐり』(文藝春号)

(作品紹介)
裕福だった過去に執着し、借金を重ねる母と弟。一族の災厄から逃れたはずの奈津子だが、突然、夫が不治の病にかかる。だがそれは、奇跡のような幸運だった——夫とめぐる失われた過去への旅。

(プロフィール)
かしまだ まき●1976年東京都生まれ。白百合女子大学卒業。

(代表作品)
「二匹」1998年文藝冬号=第35回文藝賞受賞、単行本は99年河出書房新社刊。『レギオンの花嫁』2000年河出書房新社刊。『一人の哀しみは世界の終わりに匹敵する』03年河出書房新社刊。「白バラ四姉妹殺人事件」04年新潮3月号=第17回三島由紀夫賞候補、単行本は04年新潮社刊。「六〇〇〇度の愛」05年新潮2月号=第18回三島由紀夫賞受賞、単行本は05年新潮社刊。「ナンバーワン・コンストラクション」06年新潮1月号=第135 回芥川賞候補、単行本は06年新潮社刊。『ピカルディーの三度』07年講談社刊=第29回野間文芸新人賞受賞。「女の庭」08年文藝秋号=第140回芥川賞候補、単行本は09年河出書房新社刊。「二人の庭園」08年文學界11月号。「酔いどれ四季」08年すばる12月号。『ゼロの王国』09年講談社刊。『黄金の猿』09年文藝春秋刊。「第三の愛」09年群像9月号。「その暁のぬるさ」10年すばる4月号=第143回芥川賞候補。『来たれ、野球部』11年講談社刊。


■第147回 直木三十五賞 受賞作品
辻村深月 『鍵のない夢を見る』(文藝春秋)
(作品紹介)
望むことは、罪ですか? 誰もが顔見知りの小さな町で盗みを繰り返す友達のお母さん、結婚をせっつく田舎体質にうんざりしている女の周囲で続くボヤ、出会い系サイトで知り合ったDV男との逃避行──。普通の町に生きるありふれた人々に、ふと魔が差す瞬間、転がり落ちる奈落を見事にとらえる五篇。現代の地方の閉塞感を背景に、五人の女がささやかな夢を叶える鍵を求めてもがく様を、時に突き放し、時にそっと寄り添い描き出す。著者の巧みな筆が光る傑作。

(プロフィール)
つじむら みづき●1980年山梨県生まれ。千葉大学教育学部卒業。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。

(代表作品)
『冷たい校舎の時は止まる』2004年講談社刊。『子どもたちは夜と遊ぶ』05年講談社刊。『凍りのくじら』05年講談社刊。『ぼくのメジャースプーン』 06年講談社刊。『スロウハイツの神様』07年講談社刊。『名前探しの放課後』07年講談社刊。『ロードムービー』08年講談社刊。『太陽の坐る場所』 08年文藝春秋刊。『ふちなしのかがみ』09年角川書店刊。『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』09年講談社刊=第142回直木賞候補・第31回吉川英治文学新人賞候補。『V.T.R.』10年講談社刊。『光待つ場所へ』10年講談社刊。『ツナグ』10年新潮社刊=第32回吉川英治文学新人賞受賞。『本日は大安なり』11年角川書店刊=第24回山本周五郎賞候補。『オーダーメイド殺人クラブ』11年集英社刊=第145回直木賞候補、第25回山本周五郎賞候補。『水底フェスタ』11年文藝春秋刊=第2回山田風太郎賞候補、他多数。
■第147回 芥川龍之介賞 候補作品
戌井昭人 『ひっ』(新潮6月号)
鹿島田真希 『冥土めぐり』(文藝春号)
鈴木善徳 『河童日誌』(文學界5月号)
舞城王太郎 『短篇五芒星』(群像3月号)
山下澄人 『ギッちょん』(文學界6月号)

■第147回 直木三十五賞 候補作品
朝井リョウ 『もういちど生まれる』(幻冬舎)
辻村深月 『鍵のない夢を見る』(文藝春秋)
貫井徳郎 『新月譚』(文藝春秋)
原田マハ 『楽園のカンヴァス』(新潮社)
宮内悠介 『盤上の夜』(東京創元社)
※辻村深月氏の「つじ」は正しくは二点しんにょうで表記します

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