「批判するだけ」は本当にダメなの? “代案”をめぐる意見に賛否分かれる

ビジネス

公開日:2021/1/6

「批判するだけ」は本当にダメなの? “代案”をめぐる意見に賛否分かれる

 議論を行う際には相手の意見を尊重しつつ、しっかりと批判を行うことが大切。ですが“代案”を用意しない批判は建設的ではない、という考え方もあるようです。今回はそうした議論の方法についての様々な見解を紹介していきましょう。

問題点を指摘するだけでも有意義?

 先日SNS上で、「代案を出さずに問題点を指摘すること」を擁護する意見が投稿されていました。投稿者によると、問題点が発覚したときに代案を考えているとその分対応が遅れてしまうといいます。また“問題点を見つける才能”と“代案を見つける才能”は別なので、それぞれ別の人が担当するのが適切。問題点を公開することで、複数の人が代案を考えられるというメリットも主張していました。

 この意見はネット上で大きな注目を集め、賛否両論を巻き起こしています。賛同する人からは「代案を出せって空気のせいで発言しにくくなるし、まともに議論が進まない」「点検する人と修理する人は別なのにね」といった声が。また「社会人の初等教育で“問題提起と解決策はセット”と叩き込んでしまうことが深刻な問題を招いている」という意見も上がっています。

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 その一方で反対意見を唱える人からは、「そもそも“代案が必要”っていうのは、重箱の隅をつつくだけの人を抑制するためにある考え方だと思う」「代案なしで問題点を批判することがダメなのは、議論が先に進まなくなるから。時には問題点をわかった上でリスク覚悟で進める必要がある」といった指摘が続出。

 その他シチュエーションによって考え方が変わるという意見もあるようで、「将来に向けてプランを立てているときには代案が必要。だけどリアルタイムで問題が起こっているときにはまず問題点の共有を優先するべき」「改善に向けた批判なのか、攻撃するための批判なのかによっても印象は違う気がします」などの見解が投稿されていました。

議論の場を整えるために

 ソフトバンクグループの創業者である孫正義さんは、かつてTwitter上で「建設的な代案を示せずに批判ばかりする人は、生涯リーダーに成れない。なってはならない」と述べていました。代案を出さない批判は時には有効かもしれませんが、全員がそのような批判を行っているとグループが停滞してしまうという一面もありそうです。

 またネット上では以前「マクドナルド理論」というアイデアが話題を呼んだことも。これは実現可能な選択肢の中からあえて一番良くないものを提案することで、他人から代案を引き出して議論を活発化できるという考え方でした。

 代案がまったく出ないことも、批判が適切なタイミングで行われないこともベストとは言えないでしょう。意見を出す側とそれを受け止める側がお互いに歩み寄ることが、クリエイティブに仕事を進めるための最適解なのかもしれませんね。