「天地無用」を「逆さま厳禁」に書き替えたらスゴイことになった

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公開日:2021/1/12

「天地無用」を「逆さま厳禁」に書き替えたらスゴイことになった

 日本語には様々な熟語や慣用表現がありますが、全ての意味を正確に覚えるのは至難の業。今回の記事では“誤用”しがちな言葉を3つピックアップして紹介します。いざという時に恥をかかないように、正しい意味を確認していきましょう。

誤解すると大惨事に!?「天地無用」の意味

 荷物を逆さまにしたり、ひっくり返すことを禁じる「天地無用」という言葉。郵便物のやり取りを日常的にする人にとっては常識かもしれませんが、実は誤った意味で使用されるケースも多いようです。

 文化庁が公開している平成25年度の「国語に関する世論調査」によると、「天地無用」の正しい意味を理解している人の割合は55.5%。約3割にあたる29.2%の人が「上下を気にしないでよい」と、正反対の意味で覚えていることがわかりました。

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 2019年9月にはTwitter上で、「天地無用」を「逆さま厳禁」に書き替えたことで「運送事故がパタリと止まった」というツイートが大きな話題に。この投稿を見た人からも「字面だけ見ると紛らわしいから、天地無用って使わない方がいいのかも」「ストレートに逆さま厳禁って書いた方が伝わりやすい」といった反応が上がっていたので、誤解を招く表現であることは間違いなさそうです。

移り変わっていく「敷居が高い」の用法

「敷居が高い」は正しい意味を勘違いしている人が多い言葉の1つ。「あのお店は敷居が高い」などと表現するケースをよく見かけますが、その意味は間違っているかもしれません。

 平成20年度の「国語に関する世論調査」で「敷居が高い」をどんな意味で使っているか調査したところ、過半数に及ぶ45.6%の人が「高級過ぎたり、上品過ぎたりして、入りにくい」と回答。しかし正しい用法は「相手に不義理などをしてしまい、行きにくい」というもので、こちらの正答率は42.1%となっていました。

 とはいえ言葉の“正しい意味”は時代によって変わっていくもの。2018年に発売された『広辞苑 第七版』では「高級だったり格が高かったり思えて、その家・店に入りにくい」という一文が追加されているので、もはや誤用ではないと考えることもできそうです。

大半の人が間違える「号泣する」の意味

 感動的な映画や小説に触れた時によく使う「号泣する」という表現。この言葉は本来「大声を出して泣く」ことを指しているのですが、多くの人が誤用しているようです。

 平成22年度の「国語に関する世論調査」によると、「号泣する」の意味を正しく答えられた人の割合は34.1%。「激しく泣く」という意味だと誤解している人はそれを上回る48.3%に達していました。

 そもそも“号”の文字には「大声を出す」という意味があるため、声を出さずに泣くことは「号泣」とは表現できません。文化庁のサイトでは誤用が広まった理由について、週刊誌やテレビ番組の影響ではないかと指摘されています。なぜ誤用が生まれたのか、色々な言葉について調べてみるのも楽しいかもしれませんね。