『残酷な天使のテーゼ』に思わずノってしまうのには理由があった!

文芸・カルチャー

公開日:2021/1/19

『残酷な天使のテーゼ』に思わずノってしまうのには理由があった!

 5音と7音の言葉を繰り返す「五七調」。「古池や 蛙飛びこむ 水の音」などの俳句でもお馴染みですが、実はもっと身近なところでも盛んに活用されているようです。今回はそんな“言葉のリズム”の秘密に迫っていきましょう。

流行りのJ-POPも「五七調」が多い!?

 2019年9月15日に放送された『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)で、音楽プロデューサーの本間昭光さんが「日本古来より伝わる五七調」について解説し話題を呼んでいます。

 本間さんは、短歌や俳句などで使われる五七調が1000年以上かけて日本人にとって受け入れやすいリズムになってきたことを指摘。最近のJ-POPでもそのリズムを生かした曲が溢れているとして、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の主題歌である『残酷な天使のテーゼ』を挙げていました。

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 実際にサビに当たる部分の歌詞を見てみると、「残酷な」「天使のテーゼ」「窓辺から」「やがて飛び立つ」と五・七のフレーズが繰り返されていることが一目瞭然。その結果として「日本語のリズムとしてすごく受け入れやすい」曲になっていると本間さんは語ります。

 また番組では松任谷由実の『やさしさに包まれたなら』やウルフルズの『ガッツだぜ!!』などの大ヒット曲も取り上げられ、それぞれ「やさしさに 包まれたなら」「ガッツだぜ パワフル魂」とサビの部分がほとんど五七調になっていると指摘されていました。

 身近な曲を意外な角度から解説した番組に、ネット上では「たしかに聞いてて気持ちがいい曲のフレーズって五七調が多いかもしれない」「だから『残酷な天使のテーゼ』って歌いやすいのか! 日本人のリズムなんだろうな」「歌いやすいように作ると自然に五七調になるんですね」と大きな反響が上がりました。

「五七調」と「七五調」の違いって?

 日本語のリズムには「五七調」だけでなく、7音の後に5音が続く「七五調」という韻律も存在します。たとえば古来より伝わる『いろは歌』の「いろはにほへと ちりぬるを」なども典型的な七五調だと言えるでしょう。

 両者の特徴としては、五七調の響きに“重み”があるのに対して、七五調の音は“軽やかに響く”と言われることもあるようす。ただしどちらも「聞いていて心地よい」という点は共通していて、SNS上では度々七五調の言葉が注目を集めています。

 2016年に一世を風靡したピコ太郎の「PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)」という曲も、その代表格。歌詞をよく見ると「ペンパイナッポー」「アッポーペン」と、まさに七五調のリズムで構成されています。同じく2016年に大ヒットしたドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)もタイトルがほぼ七五調となっていて、「口ずさみたくなる」と評判を呼んでいました。

 その他「本を売るならBOOKOFF」や「ヤマザキ春のパンまつり」など、企業のキャッチコピーにも同様のリズムが活用されています。あなたの身の回りにも、意外なところに“韻律”が潜んでいるかもしれませんよ。