大安や仏滅はただの迷信!? 「六曜」と仏教は何の関係もなかった

文芸・カルチャー

公開日:2021/1/20

大安や仏滅はただの迷信!? 「六曜」と仏教は何の関係もなかった

 カレンダーに記載されている友引や大安、仏滅などのことを「六曜」と言います。結婚式やお葬式の日取りを決める際には六曜を参考にするのが一般的ですが、実はこの風習が最近定着したものであることをご存知でしょうか?

「六曜」がカレンダーに記載された理由

 六曜に含まれる「仏滅」という言葉は“仏が亡くなった日”を連想させるため、仏教に由来する日本の伝統的な風習だと思っている人も多いかもしれません。ですが実際には六曜は中国から伝わった占いで、現在のような形になったのはここ1~2世紀のこと。仏滅も「物滅」から転じた表現であり仏教とは関係がないとされています。

 結婚式では仏滅の日を避けるべきという風潮もありますが、仏教系のウェブサイトでは「気にしなくてもいい」と明言しているところも。またお葬式では“亡くなった人が友人を連れていく”という字面のイメージから「友引」を避けるのが一般的。しかし友引は元々「相引」と書き、お互いに勝ち負けがつかない日のことを指していたため、お葬式を避ける必要はないとも言われています。

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 また2018年5月に放送された『この差って何ですか?』(TBS系)では、江戸文化研究家の菅野俊輔さんが「カレンダーに六曜が記載されるようになった理由」を紹介していました。カレンダー(暦)に占いを載せる文化は昔からあったものの、江戸時代に主流だったのは1日の運勢を12パターンで診断する「十二直」や30パターンが用意された「納音」といった複雑な占い。庶民たちが占いに惑わされていることを危惧した政府は、明治時代の初期に法令によって占いを禁止してしまいます。

 占いが掲載できなくなり、カレンダーが売れなくなってしまった暦屋はそこで六曜に着目。当時不人気だった六曜を採用したカレンダーが密かに売り出されるようになり、その後全国に広まっていきました。

「六曜カレンダー」をめぐる様々な意見

 2015年、大分県の佐伯市や杵築市などが六曜を記載したカレンダーの配布を中止する騒動がありました。その理由は「六曜は科学的な根拠がない迷信であり、偏見や差別を助長する恐れがある」といったものでしたが、佐伯市では翌年1月に市長の判断によって配布中止が撤回されています。

 一連の騒動はネット上で大きな注目を集め、「六曜という迷信を個人が信じるのは勝手だけど、公的機関が発行するのはおかしい」「税金で迷信を宣伝するのはよくないと思う」「起源すらはっきりしてないものをカレンダーに載せる必要はない」といった声が続出することに。

 その一方で六曜が必要だと考える人も多く、「実際に社会で使用されている以上、六曜がカレンダーに載っていた方が便利だと思う」「冠婚葬祭がらみの仕事してる人にとって六曜は必須でしょう」といった意見が上がっていました。

 普段の生活に溶け込んでいるものの、あまり知られていない六曜の歴史。もし興味がある人はさらに深く調べてみてはいかがでしょう?