綿矢りさ、最新作はライトノベル!?

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/26

 綿矢りさの新作はなんとライトノベル!?
『群像』8月号(講談社)に掲載された短編小説『人生ゲーム』は、小学6年生の男の子3人が中古で人生ゲームを買ってきたことから始まる。

人生ゲームで遊ぶ彼らの部屋に入ってきた兄の友達は、突然「お前らが本物の人生で大変になる場面に、マークつけてやる」と言って、3つのマス目に黒ペンで丸をつけた。そして、「いいか、おれが丸をつけた場所で、おまえたちは必ず不幸になる。そのときはおれんとこに来い」と言うのだ。彼の言うことは全く信じられなかったが、時が経ち大学生、社会人となった彼らに起こった出来事とは……?

人生ゲームの内容が現実となるストーリーは、まるでライトノベルやファンタジーのよう。これまで揺れ動く女子の微妙な心情を描く作品が多かった綿矢にとって、異色の作品だ。まさしく新境地。いろんな意味で気になるこの“人生ゲーム”。その行方は『群像』で確かめてほしい。

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また、女子高生同士の恋愛を描き“百合小説”と話題になった『ひらいて』(新潮社)が、7月31日に発売される。

先月は『文學界』7月号(文藝春秋)で『仲良くしようか』も発表しており、寡作から一転、このところ精力的に作品を発表している綿矢。数だけじゃなく『ひらいて』のような百合描写、『人生ゲーム』のようなSF的設定など、新たなジャンルに挑戦している。

はたして次はどんな世界を切り開いていってくれるのか? 今後も、新たな綿矢りさが紡ぎだす作品から目が離せない。