“ホリエ萌え”する女子たち

社会

2012/7/25

 文系女子から熱視線を浴びている“ホリエ”とは?
先週、発表された第147回芥川賞。ご存じの通り『冥土めぐり』(河出書房新社)で鹿島田真希が受賞したが、今回の芥川賞は「どの作品が受賞するか?」ということ以外にも、密かに注目されていたトピックがあった。それはズバリ“新加入のホリエ様”。新たに選考委員に加わった作家の堀江敏幸が“萌える”と、一部の女子のあいだで評判なのだ。

 堀江は、現在48歳。大学ではフランス文学を専攻し、パリ第3大学に留学も。2001年には『熊の敷石』で第124回芥川賞に選ばれ、それ以降も数々の文学賞を受賞……と、輝かしい経歴の持ち主だ。

 “ホリエ萌え”歴5年の30代女性は、「地味目ながら端正な作品を発表し続けている作家としての誠実感が、トレードマークの丸眼鏡にも表れている。その控えめな姿がすてき」と話す。「フランスの匂いがするのがいい」と言うのは、20代女性。「『雪沼とその周辺』(新潮社)を読んでファンに。えも言われぬ、嫌みのないインテリの香りを醸し出している。歳を重ねるにつれ、ますます枯れた色気が増していきそう」とのこと。

 実は“ホリエ萌え”に限らず、女性のあいだでは“枯れ専”なる萌えジャンルが存在する。たとえば、西炯子のマンガ作品『娚の一生』(小学館)に登場する51歳の大学教授・海江田醇。「“幸福論”は僕の専門外や」「女はアホやが男は輪をかけてアホや」「幸せについては結婚してからゆっくり話そや」と達観したお言葉をやわらかな関西弁でささやくかと思えば、はだけたシャツやパンツ一丁の無防備(でセクシー!)な一面を見せてみたり、まさに理想の“おじさま”。大学教授枠なら、ヤマシタトモコ『LOVE,HATE,LOVE.』(祥伝社)の、52歳の気怠げな縫原教授も読者から大モテだ。さらに、従業員が全員、老眼鏡紳士であるオノ・ナツメの『リストランテ・パラディーゾ』(太田出版)は、枯れ専にはたまらないマンガである。

 これらの共通点を挙げるなら、①インテリであること ②メガネは必須 ③知的で包容力があり、がっついていない ④穏やかで無口 ⑤人生を達観している……といったところだろうか。また、『リストランテ・パラディーゾ』はイタリアが舞台で、堀江敏幸はフランス文学者であることを考えると、“ヨーロピアンな雰囲気”というのもポイントが高そうだ。

 おじさんがこのハードルをクリアするのは、かなり高め。現実世界ではなかなか出会えそうにないが、そういう意味で文学界のホリエは非常に貴重な存在。まずは、堀江敏幸初の芥川賞選評が掲載される『文藝春秋』9月号の発売日となる8月10日が楽しみだ。