噂の「ノマド」になれる人、なれない人

仕事術

2012/8/2

 いま、何かと話題のノマド。『仕事するのにオフィスはいらない ノマドワーキングのすすめ』(佐々木俊尚/光文社)や『ノマドライフ 好きな場所に住んで自由に働くために、やっておくべきこと』(本田直之/朝日新聞出版)、『ノマドワーカーという生き方』(立花岳志/東洋経済新聞社)など、ノマド本も続々と発売され、さらに今年は『情熱大陸』に“ノマドワーカー”を自称する安藤美冬が取り上げられて以来、一気に注目ワードとなった。とくに、安藤が番組のなかで何をやって仕事にしているのかを問われた際、「何屋って決めたくないんですよね。職業は“安藤美冬”っていう」と返答したことで、多くの視聴者が混乱。「ノマドってどういう意味なの?」「何の仕事してるの?」と、大きく関心をもたれるきっかけになったようだ。

 ノマドとは、英語で「遊牧民」という意味。『仕事するのにオフィスはいらない ノマドワーキングのすすめ』によると、“「オフィスのない会社」「働く場所を自由に選択する会社員」といったワークスタイルを実践している人たちのこと”とある。こういわれると、「スタバあたりで仕事をしていればノマドなの?」「フリーランスの言い換えでは?」と考えがちだが、そういう問題でもないらしい。ノマド本に共通して書かれている通り、“会社に依存することをやめて、自分の力で人生を切り拓いていくための効率的な働き方”を実践しているかどうかが肝のようだ。

 また、先の『情熱大陸』でも、安藤がTwitterでアイデアをつぶやいたそばから仕事の依頼が舞い込む場面が放映されていたが、ノマドといえば、スマート・フォンやクラウドサービス、SNSなどを活用して仕事をするイメージも強い。逆にいえば、ネット上で進行できる仕事でなければ、ノマドワークには向かないということ。ホワイトカラーであり、またそのなかでも、まだ一部の人に限られる話ともいえるだろう。そもそもフリーランスではない会社員にとっては、会社が「会社にこない」働き方を認めるかどうかの問題が横たわっている。そういった“特権階級の話題”感も、ネット上で「嫌ノマド」を生んでいる要因のひとつかもしれない。

 しかし、さまざまなノマド関連本を読むと、もっとも重要なのは、その働き方の意識であるようだ。前出の『仕事するのにオフィスはいらない ノマドワーキングのすすめ』には、
「セルフコントロールができないタイプの人は、ノマドワークスタイルには向きません。たぶん出勤しなくなったとたんに毎日昼まで寝ているようになり、仕事と遊びの区別もつかなくなって、どんどん自堕落な生活におちいってしまうでしょう」
と、ズバリ書かれている。ノマドワーカーになりたければ、自分で自分を戒められる自律性がなければダメ! ということだ。例えるなら、夏休みの宿題を8月31日に終わらせていたタイプ(あるいは9月に持ち越しタイプ)には、到底無理な話だろう。

 会社に縛られない、自由な働き方。しかしそれは“楽ができる仕事術”ではないことは確かなようだ。