『神様はじめました』の鈴木ジュリエッタ最新作は、共同生活×推理×ラブコメディ!

マンガ

公開日:2021/3/13

名探偵 耕子は憂鬱 1
『名探偵 耕子は憂鬱 1』(鈴木ジュリエッタ/白泉社)

 ミステリーが好き、レトロでかわいいものが好き。ラブコメだってもちろん好き! そんな乙女心をお持ちの人におすすめしたいコミックがある。『名探偵 耕子は憂鬱 1』(鈴木ジュリエッタ/白泉社)だ。

 ときは昭和中期、舞台は東京。空前のミステリーブームを迎えた日本では、3つの難事件を解決した者にのみ、“探偵”の資格を持つことが許されるという法が定められていた。

 そんな中、探偵見習いの少女・金田耕子は、若者たちが下宿する洋館、春秋館の門を叩く。耕子が住み込みの賄い人としてこの下宿屋にやってきたのは、名家の子息・犬上佑清に、殺人予告状が届いたからだ。料理は苦手な耕子だが、探偵のお免状をもらうためには、この事件を解決するより道はない。名探偵を目指す耕子は、曲者ぞろいの4人の下宿人たちの世話に奮闘しつつ、殺人予告の犯人を探すことになるのだが……。

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 本記事では、この作品の読みどころを紹介したい。

その1 レトロなムードがたまらない舞台設定

 昭和中期の日本が舞台ということで、作中にはレトロな描写がたっぷりだ。耕子の服装からして、着物に袴、マントを羽織って、帽子をかぶる、“名探偵ふう”のレトロスタイルだし、下宿屋の春秋館は絵になる洋館。ちょっとした背景にも描き込まれたムードに、存分に浸ってほしい。

その2 予想外のミステリーに翻弄される!?

 かわいいい耕子の見た目に反して、春秋館に舞い込んでくるのは、殺人予告に下宿人蒸発、復讐予告など、なかなか劇的な事件ばかり(出張推理は、ほっこりできる珍事件も!)。一方で、これらの事件の予想外の結末に、読者の気持ちは翻弄されることだろう。

その3 共同生活でラブコメもしっかり!

 男ばかりの下宿屋に住み込む賄い人──となれば、いわゆる同居ものならではの恋愛要素も期待したくなるのが乙女心というものだ。ここまでで見てきたように、すでに魅力的な設定が揃う本作だが、ラブコメへの期待もしっかり満たしてくれるのでご安心を。春秋館には「一時ここにいるだけのただの居候」だと思っている耕子、とある人物との恋の行方は……?

 『神様はじめました』の鈴木ジュリエッタがおくる、懐かしくも新しい共同生活×推理×ラブコメディぜんぶ盛りの最新作。時代も世界も自由に旅してキャラクターの感覚を共有できる、読書の醍醐味も味わえそうだ。

文=三田ゆき

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