女子中・高生オススメ! 真夏にぴったりのホラー小説

文芸・カルチャー

2012/8/10

 ダ・ヴィンチ9月号の小野不由美特集では、品川女子学院中等部・高等部の読書好き生徒たちによる、7月発売の新刊『鬼談百景』『残穢』についての座談会を掲載している。瑞々しい10代の目に新作はどう映ったのか? 怖かったシーン、印象的なエピソード、卓見の怪談論から、ゾッとする怪奇体験談までが飛び出した、大盛り上がりの座談会を一部ご紹介しよう。

――まずは『鬼談百景』の感想からうかがいましょう。
平野さん: どの話も実際にありそうで怖かったです。作り物っぽいホラーじゃない。「髪あらい」という話を読んでからは、お風呂場の髪の毛をちゃんと拾うようになりました。排水溝から変なものが出てきそうで……。
笠井さん: そうそう。明日にも自分の身に起こるんじゃないか、みたいなね。わたしは「マリオネット」で描かれる飛び降り自殺がリアルで怖かったなあ。学校が舞台になっている話だから想像しやすいんです。「不評」みたいな霊がうちの学校に出たらいやだなあとか。
坪井さん: これを読んでいる間、飼ってる猫が空中の一点をじーっと睨んでたんです。ひょっとして「お気に入り」の女の子みたいに幽霊が見えているのかも、と思ったら怖くてたまりませんでした。よく見たら、虫を追っていたんですけど(笑)。
橋本さん: わたしも「お気に入り」を読んでいたら、部屋のどこからかパチッ、パチッと指を鳴らすような音が聞こえたり、家電の電源がいきなり切れたりということがありました。
粟盛さん: 「末期(まつご)の水」という話のことを家族に話していたら、仏間の遺影が風もないのにガタガタッと揺れたので、すごく驚きました。なんで揺れたのかはいまだにわからないんですが。
笠井さん: ちょっと君たち、お祓いに行ったほうがいいよ(笑)!
久保さん: 寝る前に布団で読んでいたんですけど、布団から足を出したら引っぱられそうと思って、電気をつけたままで寝ましたね。
三上さん: 昼間は賑やかだし、面白くてつい何話も読んじゃうんです。で、夜になると必ず後悔する。怖いものが大の苦手なので、「グリコ」「花簾(はなすだれ)」みたいなほっこりする話が印象に残っています。怖いものから心が温かくなるものまで、すごく幅広いですよね。

――では『残穢』はいかがでしたか?
伊藤さん: 長編なので怖い世界にどっぷり浸れますね。自分の家がどんな土地に建っているのか、調べてみたくなりました。
三上さん: ミステリーテイストなので、怖いのが苦手なわたしでもさくさく読めます。調査していって、だんだん謎が解けてゆくところが面白かった。
笠井さん: この作品に出てくる穢(けが)れって、ツイッターの「リツイート」機能みたいだと思うんですよ。誰かが穢れに感染すると、周囲にばーっと拡散していく。隣の誰かがもう感染しているんじゃないの、っていう怖さを感じます。
橋本さん: 現代っ子な喩(たと)えだね(笑)。
笠井さん: ツイッターをしてる子にはしっくりくると思うよ。『鬼談百景』ともリンクしているから、「この話、ひょっとして?」という既視感にまたゾクッとしますね。これは両方読んだほうが絶対面白いです。
平野さん: 『鬼談百景』は淡々と描かれていたけど、『残穢』はその背景をもっと深く追求した感じ。先に『鬼談百景』を読んでおくと、背景を知る楽しさがあると思います。
久保さん: わたしは余韻を残したラストがいちばん怖かった。じわじわっと後からくる怖さで、思い出すと鳥肌が立ちます。
橋本さん: だからこそ記憶に残るんだよね。描写が細やかだから、想像を膨らませながらじっくり読めるのも魅力。ゆらゆら揺れる女の人が夢に出てきて大変でしたが……。
笠井さん: さっそく感染してる!
伊藤さん: 「十二国記」シリーズとは違った、小野先生の魅力に気づきました。もっと他の本も読んでみたいです。

――ところで『鬼談百景』の99話と『残穢』を足すとちょうど100話になります。
笠井さん: 怪談を100話続けて読むと、霊が寄ってくるらしいよ。お化けの総大将みたいなのが出てくるんだって。
三上さん: そういうことは読む前に教えてよー(泣)。

本誌ではこのほかにも、小野不由美の魅力をさまざまな角度から紹介している。

取材・文=朝宮運河
ダ・ヴィンチ9月号「全作ハズレなし! 小野不由美を読む」より)