“男の子を育てるイクメン”を描いたマンガ、BLが人気

BL

更新日:2012/8/13

 世間では、“イクメン=子どもを育てる男性”という言葉が定着した昨今。マンガ界においても、『うさぎドロップ』(宇仁田ゆみ/祥伝社)のアニメ化や映画化、『マイガール』(佐原ミズ/新潮社)のドラマ化などで、イクメンが登場する作品が話題になってきた。が、しかし。ここにきてブームに変化があらわれているのをご存じだろうか?

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 これまでは、先に挙げた作品や『よつばと!』(あずまきよひこ/アスキー・メディアワークス)のように、男性が女の子を育てるものがほとんどだった。それが今は、“男の子を育てるイクメン”のマンガやBLが人気を集めているのだ。

 代表的な作品を挙げると、『flat』(青桐ナツ/マッグガーデン)や『ひそひそ』(藤谷陽子/アスキー・メディアワークス)、『SUPER LOVERS』(あべ美幸/角川書店)は、主人公が男の子と触れ合いながら成長していく……という物語。本当の親子ではないものの、“子どものお世話”を通してお互いが成長していくという点では“イクメン”と同じだろう。

 『flat』の場合、周りに興味や関心がなく空気が読めない主人公・平介は、自宅に預けられることになった保育園に通ういとこ・秋と接することで、少しずつ人に思いやりを見せるようになる。『ひそひそ』の主人公・光路も、自分と同じモノや動物の声が聞こえるという能力を持った大地との交流を経て、無気力で冷めた態度を改め、だんだんと心を開いていく。このように、育児そのものというよりは、ふたりの関係性をじっくり描く作品が多いのが特徴だ。

 また、『SUPER LOVERS』では、明るく社交的でホストになった主人公の晴が、少年の零と関わることで寂しさを見せたりする。交流によって素顔が引き出されるというのも、このジャンルの魅力のひとつといえよう。男性が心を許した人にだけ見せる無防備さは、まさしくキュンとくるツボ。子どもに見せる優しさであったり、意外と面倒見が良かったりといった素の一面も、男性の特別な顔をのぞいてみたいという女性の心をつかんで離さないのだ。

 さらには、彼らの仲間意識や、年の離れた友だち・兄弟のような関係も、男同士でなければ生まれない妙味。ませている女の子よりも単純明快な男の子のほうが、シンプルなかわいさが際立つのかもしれない。

優しいイクメンも、かわいい男の子も大好き! な女子にしてみれば、それが同時に楽しめちゃうこのジャンルはとても魅力的なはず。イクメン男子に育てられた男の子は、どういうふうに成長していくのか? 将来は同じようなイクメン男子に育つのか、それともBLに目覚めてしまうのか……!? 子育てをするように、そんな期待や不安を抱えながら見守るのも、このジャンルの楽しみ方なのかもしれない。