会社「明日から来なくていい」… 結果、来ない期間の給料も払うことに

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更新日:2021/6/1

会社「明日から来なくていい」 結果、来ない期間の給料も払うことに

 社会人なら誰しも、上司や目上の人から理不尽な指示を受ける機会があるもの。そんな時に頼りになるのは労働をめぐる法律の知識です。そこで今回は、ネット上で注目を集めている労働関係の訴訟についてご紹介していきましょう。

「明日から来なくていい」は解雇ではない?

 2019年3月に津地裁伊勢支部が下したとある判決が、Twitter上で話題を呼んでいます。同裁判は三重県伊勢市のテーマパークに勤めていた女性従業員2人が、不当に解雇されたという理由で運営会社を訴訟したものでした。

 原告のAさんとBさんは、それぞれ別の日に運営会社の人事部長から「翌日から出社しなくて良い」といった発言を受けたそう。しかし判決ではこの発言は従業員に解雇を言い渡すものとして認められず、退職についての合意も成立していないと見なされることに。すなわち原告の2人はクビになったのではなく、あくまで人事部長の指示に従って会社に行かなかったと判断されたようです。

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 判決によると、たとえ出勤していないとしても2人には賃金を請求する権利が存在するとのこと。結果としてAさんとBさんの訴えは認められ、会社側には賃金の支払いが命じられることになりました。

 12月にはこの判例を紹介したツイートが拡散され、5万件以上の「いいね」を獲得。判決の内容に衝撃を受ける人は多かったようで、「『来なくて良いよ』が業務上の指示ってことになるんだね。面白い!」「パワハラ発言が実質有給になるなんて凄すぎる」「今まで見たことがないけど、とても画期的な判例だと思う」などの声が続出。

 その他にも「こういう判決が積み重なってパワハラが無くなればいいのに」「『明日から来なくて良い』とか発言しちゃう人は自分を見つめ直してほしい」といった意見が上がっていました。

意外と知らない?「解雇」のルール

 今回紹介した判例では「解雇」についての解釈が争点になっていましたが、そもそも法律上ではどんな風にルールが定められているのでしょうか?

 厚生労働省が公開しているハンドブック「知って役立つ労働法~働くときに必要な基礎知識~」によると、解雇とは会社側から一方的に労働契約の終了を行うこと。ただし自由に労働者を辞めさせられるわけではなく、客観的に見て合理的な理由があり、社会通念上ふさわしくなければ解雇できないことになっています。また会社はあらかじめ就業規則に解雇事由を記載しておく必要があるほか、実際に解雇する際には最低でも30日前には予告しておかなければなりません。

 労働者を解雇するハードルは高いため、会社側が自主的な退職を勧める「退職勧奨」を行うことも。しかし勧告に応じるかどうかはあくまで労働者の自由。もし強制されているように感じたら、労働組合や各都道府県の労働局に相談するのがおススメです。

 いくら職場で地位が安定していたとしても、いつ何が起きるか分からないもの。自衛のためにも法律の知識を身につけておきましょう。

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