“隠れコミック誌”とひそかに人気の『週刊ファミ通』

エンタメ

更新日:2012/8/22

 コンビニにも置かれているゲームファン御用達の雑誌として有名なゲーム情報誌『週刊ファミ通』(エンターブレイン)。そんなファミ通にもうひとつの側面があることをご存知だろうか。そう。実はファミ通は、マンガファンの間で“隠れコミック誌”としてひそかな人気を集めているのだ。

advertisement

 誌面を見れば、理由は一目瞭然。『ササキ様に願いを』などで4コマ界の風雲児として名をはせたみずしな孝之がゲームマンガ『いいでん!』を連載し、シュールなギャグマンガを描かせたら天下一品の和田ラヂヲが『和田ラヂヲの徐々にポイマン』で独特な笑いを展開する。あの『クマのプー太郎』の中川いさみがプー太郎を再び主人公にして『スナックプー太郎』なる怪作を描いているかと思えば、『僕の小規模な生活』でその“中2的感覚”に注目が集まった福満しげゆきが例の調子でゲームエッセイ4コマを綴っている。他にも『ぷちえう゛ぁ』の濱元隆輔が連載をしていたり、『天地無用!』シリーズを描いた奥田ひとしが『龍ヶ嬢七々々の埋蔵金』という連載をはじめたりと、盛りだくさんすぎてお腹一杯になるようなメンバーが揃っているのだ。

 また、ファミ通は実力派作家をそろえているだけでなく、若手マンガ家たちのブレイクの場にもなってきた。代表的な例は、ハイパーラブストーリー『恋の門』で知られる羽生生純だろう。羽生生はファミ通の漫画大賞受賞をきっかけにデビュー、同誌で竹熊健太郎とタッグを組み、『ファミ通のアレ(仮題)』というエキセントリックかつ実験的なマンガを描いて一気にその名を業界にとどろかせた。現在、『ヤングキングアワーズ』で『アリョーシャ!』を連載中の近藤るるるも、『天からトルテ!』や『たかまれ!タカマル』などの作品で癒し系やレズビアン、ロリコン、ポッチャリなど時代を先取りした“萌え”を描き、それを足がかりに読者を獲得した。他にも、初期の『コミックビーム』の看板作家だった桜玉吉、取材マンガで知られる鈴木みそ……ファミ通で自分のスタイルを築いて大きく羽ばたいた作家は枚挙にいとまがない。

 しかも、この伝統は今もしっかりと引き継がれており、最近では『女子高生』シリーズの大島永遠がそのギャグセンスを花開かせた『四姉妹エンカウント』を描き、徐々に話題を集めている。
 
 コアなファンを唸らせる実力派作家とブレイク間近の若手作家が他のどのマンガ雑誌にも載っていない独特の作品を発表し続けるファミ通。マンガファンなら、ためしに購読ラインナップに組み込んでみてはいかがだろうか。