吉永小百合は新ミステリーの女王・湊かなえのファンだった

芸能

更新日:2012/8/23

 この秋に公開される吉永小百合主演の映画『北のカナリアたち』。この作品の原案は、『告白』(双葉社)で知られる湊かなえ、さらに『告白』の主人公同様、吉永小百合が元教師役を演じるということで、話題を集めている。まさか、あの吉永小百合が、生徒たちの牛乳にHIVウイルスを混ぜたり、“ドッカーン”と爆弾を爆発させたりするのだろうか? しかも、湊作品を原案に推挙したのは吉永本人だというから驚きだ。

advertisement

 吉永がそのいきさつについて語ったのは、8月2日に発売された文庫版『往復書簡』(幻冬舎)内におさめられた「文庫化によせて」でのインタビュー。吉永と湊作品との出会いは、ベストセラーとなった『告白』がきっかけ。まず映画を先に観た吉永に、元テレビプロデューサーの夫が「映画だけじゃだめだ。あの本は最高なんだから、読んでみなさい」と薦めたそう。

 そして、『北の零年』の脚本家と新たな映画の企画を進めていたときに、たまたま『往復書簡』の新聞広告を発見。進行していた映画の企画と設定が通じる部分があり、なんと吉永じきじきに「何とかしてこの、湊さんの「二十年後の宿題」を映画の中に取り入れさせていただけないだろうかとお願いしました」という。なんでも吉永は、
「最近は映画で私が演じられる役となかなか出合えないこともあって、新刊の紹介や広告をチェックして、「これは自分が演じるにはどうかしら?」なんて考えているんです」
と話している。吉永ほどの大女優でも、この努力! その結果が、湊×吉永という意外な組み合わせを誕生させたのだ。

 さらに今年1月には、撮影場所である北海道の礼文島を湊が訪問。湊の印象を、
「学校の先生をされていたそうなんですが、そのことが信じられないくらい、かわいくて、少女のような方。そんな方が、心にぐっと突き刺さってくるような、私たちが衝撃を受けるような作品を書いていることが、二面性というのかしら、とてもおもしろいし、うらやましく思いました」
と振り返った。デビュー時から今日に至るまで“清純派”の代名詞的存在である吉永が、“後味の悪いミステリー”として人気を博す湊作品を読みこんでいるという事実。ある意味、これも吉永の意外な二面性を感じさせるエピソードといえるだろう。

 また、湊作品に惹かれる理由を、吉永はこんなふうに答えている。
「あなたならどうする?」「あなたなら、過去を乗り越えて、どういう生き方をしますか?」という問いかけがされていて、自分に置き換えて考えられますし、心に深く残ります」

 とりあえず、原案を読む限りは“ドッカーン”なシーンはなさそうなので、サユリストのオジサマ方もひと安心!? しかし、湊かなえらしい衝撃的な展開は期待を裏切らないはず。映画公開が待ちきれない人は、まずは文庫でその世界を味わってみてはいかがだろうか。