サブカル男子に大評判! 映画『桐島、部活やめるってよ』

更新日:2012/8/24

 現在、公開されている映画『桐島、部活やめるってよ』が話題だ。
公開規模の問題で興行収入的には苦戦を強いられているが、映画通やサブカル層の間では大好評。とくにネット上では異様な盛り上がりをみせている。

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 この映画は、ご存じの通り同名の小説が原作。バレー部のキャプテン・桐島が部活を突然辞めたことから、そのほかの部に所属する5人の同級生たちにも変化が訪れる……という連作の物語だ。映画では、神木隆之介が演じる映画部の地味めなサブカル男子・前田涼也が主人公という設定になっている。

 ネットでの評判を覗くと、『モテキ』の大根仁監督はTwitterで、
「『桐島、部活やめるってよ』@渋谷東急。すげえおもしろいじゃん! 高校時代、映画研究部でイケてる女子チームから見下されてたオレ映画。(後略)」
と大絶賛。

 また、いま人気の若手社会学者・古市憲寿も、同じくTwitterでこのように評価している。
「映画『桐島、部活やめるってよ』が面白かった。一つは、文化部の逆襲とスクールカーストの脆弱さという点で。ほんの些細なきっかけでカーストは揺らぎ、「上」はステージから去る。それを黙って見届ける「下」の強さ。」

 Base Ball Bearのボーカル・小出祐介にいたっては、
「(前略)神木くんや映画部の面々に自己投影しすぎて辛すぎて、感動した。僕にもこの映画のような一日があった気がする。あーほんと辛い。夢で見そう。でも、最高。」
とつぶやき、その後、1週間の間に3回も観に行ったようだ。

 このほかにも、マンガ家の花くまゆうさくや、お笑い芸人の東野幸治など、じつに多くのサブカル男子たちが評価する『桐島~』。特徴的なのは、“スクールカーストの下のほう”だった自分の青春を告白しつつ語っている点だろう。これは、映画や音楽、小説などの文系業界で活躍するサブカル男子たちにとっての青春時代は“下層スクールデイズ”だったことを裏付けているのかもしれない。ともあれ、この映画が彼らの心を鷲掴みにしたのは確かなようだ。

 しかし、『桐島~』は、スクールカーストの下層の姿にだけフォーカスしているわけではない。スクールカーストの上位である“スポーツができて彼女もいてコミュ力も高い”リア充的な生活を送る高校生たちの青春も描かれている。とくに小説では、リア充女子の描写も細やかで、童貞メンタリティの男子は当然のこと、普通に想像してもなかなか書けないと思えるほどのリアリティである。

 著者の朝井リョウは、自らの“イケてない”大学生活を綴った『学生時代にやらなくてもいい20のこと』(文藝春秋)を発表したばかり。でも、『桐島~』の描写力を考えると……もしかするとホントは“相当なリア充”だった? のかもしれない。