養殖のウニにある野菜を与えたら絶品の味わいに大変身!?

暮らし

公開日:2021/7/9

駆除対象のウニに“ある廃棄物”を与えたら絶品のウニに大変身!?

天然より甘い? キャベツが主食のウニ

 2019年11月、ネット対応型ニュース番組『the SOCIAL』(日本テレビ系)で“キャベツを食べるウニ”が紹介され、SNSなどで大きな話題を呼びました。

 元々ウニは海藻を食べる生き物ですが、ある地域では海藻の生育が追い付かず、身の少ない個体が大量に発生していたそう。そこで神奈川県水産技術センターは可食部が少なく、駆除の対象になっていたウニを回収・養殖する取り組みに着手しました。

 養殖する上で問題になったのが、ウニのエサを何にするかということ。実は海藻だけでなく雑食性で何でも食べるため、養殖に適したエサを選ぶのに一苦労。試行錯誤した結果、海藻の代用品として選ばれたのが「廃棄予定のキャベツ」だったといいます。

 ウニは小さな歯でゆっくり食事をするのですが、80匹が3日間でキャベツ1個を平らげてしまうほど食欲が旺盛。しかもキャベツを3カ月ほど与えると、ほとんどなかったウニの可食部が売り物にできる大きさにまで増えたそう。

 味の方も悪くないようで、同センターの臼井一茂主任研究員は「食べてみたらおいしいんですよ」と大絶賛。うまみ成分を調べたところ、天然のウニよりも甘味成分のグリシンが濃くなっていることが分かったといいます。

 キャベツを与えられたウニの様子は、1枚のキャベツを熾烈に奪い合ったり、その陰でひっそりと食事をするウニがいたりと人間さながら。ネット上では「ウニがかわいく見えてきた。女子高生の間で流行りそう」「廃棄物と廃棄物が組み合わさって高級食材になるのはすごい」「自分でもウニを飼ってみたくなった」「廃棄予定のキャベツが飼料になるなんて最高のリサイクルですね」と大きな反響が上がっていました。

advertisement

エサによって変化するウニの味

 ウニは雑食性ではあるものの、エサによって色合いや風味が左右されるという特徴も。天然のウニとしては「三陸産ウニ」や「羅臼産ウニ」といった産地のものが人気を集めていますが、その味がおいしいのは昆布など良質な海藻を食しているからだと言われています。

 最近では様々なエサを食べさせる試みがあり、2020年6月には九州大学と宮城大学がクローバーなどのマメ科植物によってウニを育てる技術を発表。クローバーを食べさせると、昆布で育ったウニよりも身の色が鮮やかになると報告していました。

 また下関市では、ウニのエサとしてトマトやアスパラガスを使用する試験に挑戦している模様。変わった味わいのウニが食卓に並ぶ日も、遠くはないかもしれませんね。

おすすめの動画はこちら

あわせて読みたい