岡田将生 「共感できないキャラが魅力的な思考を揺さぶる衝撃の1冊です」

芸能

2012/9/6

 「誰が正しいとか、こうすることが正当だとか、これまでの世間的な尺度が、この本を読むうちに、内側で崩れていくのがわかりました。自分を支えるには、自分を思考していくしかないんだなって、ケンヤの言葉が教えてくれた気がする」

 3カ月前に死んだ女・アサミのことを知りたいと現れる、無礼ないまどきの青年・ケンヤの喋りから物語があぶり出していくもの――それはミステリーの真実だけではない。「俺、馬鹿で、ガキっすから」と言いつつ、核心を突いてくる問いかけの応酬にじわじわと抉り出されるのは、“他人が認めてくれない、自分は運が悪い”と文句を言う大人たちが、見栄や自己防衛の下で無意識に回避していた自分の本質。『死ねばいいのに』は、今まで使っていなかった思考をフル回転させるような衝撃を与えてくれたと、岡田さんは言う。

 「ケンヤのキャラクターがすっごく魅力的。相手を恐れているのか、ナメているのか、考えていることが、初めから終わりまで、全然わからない。そこにはある種の怖さも感じましたね。彼が話を聞きに行く6人の人々もそうなのですが、登場人物にまったく共感できなくて、そこがまた良くて。徹底した第三者の目で、ストーリーに入り込んでいけました」

 繰り出されていく語りにも、「役者の視点は一切捨て、完璧にエンタメとして読んだけれど、この作品が映画化されたら、ぜひ関わりたい」と話すその先には、不甲斐ない自分を突きつけられ、残酷な言葉を投げられても、生きることにどん欲な人々の姿があったと言う。

 「そこにある人間のシンプルな強さに惹きつけられました。『映画 ひみつのアッコちゃん』でも、大人に変身した小学生のアッコちゃんを通し、気づかされたのは、大切なことはすごくシンプルだということ。こちらは笑いと元気でいっぱいですけれど(笑)」
 
 原作コミック誕生50周年記念イヤーの今年、オリジナルストーリーで初の実写化! 大人に変身している時しか一緒にいられない、綾瀬はるか演じる、国民的魔法少女・アッコちゃんの初恋の相手を演じた岡田さん。化粧品会社のエリート開発員として会社の危機に立ち向かうその姿は、幅広い年代に渡る“アッコちゃん世代”の誰もが納得する、イメージ通りの王子様!

 「実はこういう役、初めてなんです。ちょっと背伸びして大人を演じてみました(笑)。本作は、ストーリーはもちろん、ファッション、メイクとポップで楽しい要素が、スクリーンいっぱいに広がるミラクルな映画。観終わった後、笑顔で映画館から出てきていただけると思います」

■岡田将生さんが選んだ1冊
死ねばいいのに』 京極夏彦 講談社 1785円
謎の死を遂げたアサミという女。同じ職場にいた中年男、隣人の女性、個人的な関係を持っていた暴力団組員、母親らのもとに、突然現れる謎の男・ケンヤ。アサミのことを知りたいと執拗に迫る無礼な彼の問いかけに心をかき乱され、さらけ出す自身の嘘。いったいケンヤとは何者なのか。やがてひとつの真実が──。

取材・文=河村道子
ダ・ヴィンチ10月号「あの人と本の話」より)