“オカンかわいい”!? 大阪女子の魅力とは?

エッセイ

2012/9/11

 日本には、都道府県ごとにさまざまな特色や変わった県民性があるもの。なかでも女子人気でいえば、佐々木希や加藤夏希など色白美人が多いといわれる秋田や、京言葉に代表される“はんなり感”に支持率が高い京都などが挙げられる。しかし、個性の度合いならば、ナンバーワンは大阪女子。いかんせん、その生まれ持ったオカン魂が幸いしてか、男性陣からは「押しが強そう」と敬遠されがち。だが、実はオカンな態度の裏側には、意外とキュートな一面があるのだ。

 「かわいいね」。そう褒められても、素直に「ありがとう」が言えない。――そんな大阪女子の素顔が覗けるのは、『すばる』9月号に掲載された大阪出身の作家・柴崎友香西加奈子の対談だ。

 柴崎は、大阪出身の友人が東京のママ友から「今日のお洋服、真っ白で素敵ね」と言われたとき、「腹黒いから服でごまかしてんねん」と返答した話を披露。大阪ではごく一般的な切り返しのようだが、東京の友人は「あ、そうなの……」とフェードアウトしたそう。西は、「たぶん、褒められたときのリアクションも、大阪の子は持ってないねんなぁ」「意外とシャイだからこそ、先にあほをやってみせるんかな」と応えている。また、東京の男性の親切丁寧な態度にはついつい勘違いをして、西いわく「この子、私のこと好きなんかなとドキドキする」らしい。表面はオカン、でも内面は内気な乙女……ややこしいが、愛すべきギャップである。

 こうした大阪女子の面白さを味わうには、やはり大阪出身作家のエッセイがいちばん。とくに、前出の西による『ミッキーかしまし』(筑摩書房)は抱腹絶倒間違いなしの一作。これからはSFの時代や、と言い放った後に「優香とエッチしたいなぁ、そうするためにはどうしたらええかなぁ、て考えるわけや」と、トンデモなSFの内訳を解説するバイト先のオーナーのエピソードをはじめ、繰り広げられる会話の軽妙さは特筆もの。ツッコミの早さはもちろん、大阪女子特有の“笑いへの転換力”も味わえるはずだ。

 一方、対談相手である柴崎の場合は、猥雑な街というイメージとはまた違う、大阪のリアルな風景が伝わってくる書き手だ。エッセイ『よそ見津々』(日本経済新聞出版社)では、大阪のほかにも東京での話も数多く登場するが、柴崎の“街を捉える視点”の豊かさは、もしかすると人と街が密接に結び付いた大阪の土地で養われたものかもしれない。

 また、現在も大阪在住の津村記久子は、初エッセイ集『やりたいことは二度寝だけ』(講談社)でチュニックをアッパッパーと呼んでみたりと、大阪人らしい生活感や脱力感が魅力。大阪弁のリズムを堪能したいという人には、独特の文体が全編を覆う川上未映子の『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』 (単行:ヒヨコ舎、文庫:講談社)がオススメだ。

 おっと、忘れてはいけない。大阪女子エッセイといえばこの人、田辺聖子御大を抜きには語れない。カモカのおっちゃんシリーズも捨てがたいが、ここでは大阪女子の“絶妙の距離感”が堪能できる『人生は、だましだまし』を推薦したい。「それでは」ではなく、「ほな」。「そうだね」ではなく、「そやな」。――この短い大阪弁に隠された、標準語にはない深い意味合いと含み。そして、たったこれだけの言葉で心を計れる包容力! これぞ、大阪女子の最大の武器ではなかろうか。

 オカンであることばかりがクローズアップされる大阪女子だが、それだけに留まらない魅力がたっぷり。エッセイを通して、ぜひその吸引力を体験してみてほしい。
あ、でもしかし、オカン度は多少高めであることは否めませんが……。