佐藤愛子節が炸裂! 酸いも甘いも噛み分けた“98歳作家”の文庫本は、“人生の教科書”

文芸・カルチャー

公開日:2021/9/6

佐藤愛子の役に立たない人生相談
佐藤愛子の役に立たない人生相談』(佐藤愛子/ポプラ社)

 恋愛や夫婦関係、キャリアや介護問題など、人生を進めるごとに人が抱える悩みは変化する。両親や恩師に相談することもできるが、歳を重ねていくと相談できる相手がいなくなってくることもあるだろう。何かに躓いたり誰にも相談できなくて心が内側を向いてしまった時、背中をドン!と押してくれる人生の大先輩の言葉を頼ってみてはどうだろうか。

 8月に発売された『佐藤愛子の役に立たない人生相談』(ポプラ社)は、2021年秋で98歳を迎える作家・佐藤愛子が、20~70代の“後輩”たちから相談を受け、叱咤激励していく人生問答集。仕事や恋愛の悩みはもちろん、社会の在り方や家族を題材にした相談も、豊富な人生経験を矛にスパッと吹き飛ばしていく。

 著者の佐藤は、ただ98年間平凡に過ごしてきた女性ではない。二度の結婚と離婚、夫の会社の倒産や借金生活など人生の酸いも甘いも噛み分けたキャリアウーマン。作家としては1969年に『戦いすんで日が暮れて』にて直木賞を受賞して以来、ミリオンセラーを記録した『九十歳。何がめでたい』や『血脈』『晩鐘』といった作品を世に輩出してきた。

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 同書では13歳の女子から「やりたいことが何もない」と相談されたり、70歳の男性に「どちらの女性と結婚したら幸せになれる?」と投げかけられたり、老若男女が抱える様々な悩みが佐藤にぶつけられている。彼女はその1つ1つに「それを言ったらおしまいよ!」「答えになってないじゃん!」とツッコミを入れたくなるような珍回答を導き出す。佐藤にしか紡げない言葉や、人生経験ゆえの寛大な思考を感じてみたい人は必読だ。

 同書は2016年、2018年に単行本として刊行された2冊を文庫化したもの。“人生の教科書”として肌身離さず持っておきたくなるような文庫本の発売に、ファンからは「愛子節炸裂の人生相談が文庫本で読めるのは嬉しいなあ!」「佐藤愛子さん独特とも言える突き放したような物言いがとても小気味よい!」「決して役に立たない内容ではありません! 逆に視野が広がり、考え方のヒントをたくさんいただきました」「一刀両断でバッサリと切ってくれる心地よさ! 読んでいるこちらまで血を流しますが、切れ味がいいので傷口が綺麗に戻る。そんな一冊です」「いつもの佐藤愛子スタイルを貫いた期待通りの本。多くの人におすすめしたい!」といった歓喜の声が相次いでいる。

 また佐藤は、同書の後に発売した『九十八歳。戦いやまず日は暮れず』によって断筆宣言をしている。70年を超える作家人生の集大成として、同書と一緒に手に取ってみてはどうだろうか。

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