「ママタレ戦国時代」で天下をとるには?

芸能

公開日:2012/9/13

 妊娠&出産ニュースが相次ぐ芸能界だが、それに伴い、タレントたちの産後におけるママタレ化が進んでいる。いや、進んでいるどころか「ママでタレント」という立場、イメージを上手に使ってビジネスで成功する例も多く、ママタレは“戦国時代”といった様相。それを顕著に表すのが、ここ数年、雨後の筍のように発売されている「ママタレ本」。そこにはママタレたちの戦略や成功の秘訣がつまっている。

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 ママタレとして最も出しやすい本は「産後の体型戻し」を主な題材にしたダイエット本だろう。最近では、3カ月で14kg増の体重を元に戻した藤本美貴による『タオルでできる藤本美貴のらくやせヨガ』(藤本美貴/講談社)や神田うのによる『うの 樫木やせ』(神田うの/小学館)。ミキティーがタオルさえあれば誰でも自宅でできる方法で庶民的なイメージを打ち出す一方、うのはカリスマインストラクター・樫木裕実氏による特別指導のもと、マイナス19kgを約半年で実現。産後間もないブヨブヨのお腹や二の腕を惜しげもなく披露した点は「潔い! さすがうの!」とママの間でも話題だ。ちなみに同じく樫木氏の指導でメリハリボディを取り戻したほしのあきによる新著『ほしのボディ。HYPER!』(ほしのあき/学研パブリッシング)も9月25日に発売を控えている。

 産後の体型戻しは、すべてのママにとって興味をひく―それも切実に―題材といっても過言ではない。それだけにダイエット本は売り上げを立てやすく、ママタレ側にとっても出しやすいジャンルといえる。ただ、ダイエット本は1冊買えば十分、というのも事実。つまり、出す側にすればパイの取り合いということになるのが痛いところだ。

 だからだろうか、最近は “個性派”を確立しようという戦略が目立つ。「悪女」狙いの暴露本が話題になった長谷川理恵や、かつての自身のイメージとのギャップが目を引く、ふんわり乙女なイメージカットと手芸のハウツーを収録した手芸本『りょうと子どもが作る、メルヘンニット』(RYO+H.H./文化出版局)を出したりょうがその代表例。

 ただし、それだけではまだ弱い。読み手の多くは母親だけに、タレントのイメージや好き嫌い、テーマ以前に、「本当に使えるか」「本当に効果はあるのか」「コストや生活環境などが現実的かどうか」という点について、審査の目が厳しいのだ。それはママタレとしての人気はあったのに「簡単すぎる! なめているのか!」とバッシングされた辻希美『辻ちゃんのウマかわゴハン』(アスコム)の悲劇を思い出せば明らかだ。ママタレ戦国時代を勝ち抜く秘訣。それはベースの部分で「実用的である」というポイントを外さないという、ある意味、当たり前の部分が、結局は大切ということである。

  その意味で期待したいのが、新たにママとなったギャル曽根。食べることが大好きで調理師免許ももつ彼女は、過去、自らの実力とイメージをフル活用して出版したダイエットレシピ本など、料理本をヒットさせた実績がある。ボリューム満点で健康的に体重を落とせるレシピは「お腹いっぱい食べられるし、見た目も豪華でうれしい」と読者の好評を呼び、結婚後に出した第二弾では「旦那を15kg減量させた」ことも功を奏したか、再びヒットとなった。その彼女が、三度、クオリティを落とさず育児編を出すとなれば、説得力は十分。すでにブログなどでママをアピールしているだけに、可能性は高いといえる。

 もはやママタレ本はタレント自身の人気に加え、「信頼性」と「実用性」がなければ高い売り上げは望めない。この厳しい競争を制するのはいったい誰か?