子供を一流アスリートに育てるにも「傾向と対策」は必須!?

出産・子育て

更新日:2014/6/10

  日本の10歳(当時)の少年が、スペインの世界的な名門サッカークラブ、愛称「バルサ」ことFCバルセロナに入団! というニュースが話題になったことを記憶している人も多いだろう。実は今、その少年、久保建英くんを育てた父・建史さんの著書『おれ、バルサに入る!』(久保建史/文藝春秋)が話題になっている。

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 この本の斬新なところは、目標がスポーツ選手・子育て本によくある「サッカーが上手くなるには?」「プロサッカー選手にするには?」といった漠然としたものではなく、「バルサに入る」とかなり具体的な点。そのために久保さん親子が何にどう取り組んできたかが詳細に解説されている。たとえば、下部組織に入団するにはどのようなパターンがあるかを抽出し、日本在住のまま可能な方法に絞り込んでいく。またバルサではどのような資質、技術が必要とされるのかを集めた情報から分析して図解入り練習メソッドに反映させる。いわば、建英くんは幼少の頃から取り組んだ、緻密な「傾向と対策」によって見事、バルサ入団を実現したともいえるのである。

 それだけ聞くと、とてもじゃないがマネできない気もするが、こうした状況、実はトップレベルのジュニアスポーツ界では珍しいことではない。建英くんのケースが群を抜いて早く、具体的な取り組みであったことは確かだが、中学や高校進学の局面では、これくらいの気持ちでチーム、学校選びや我が子の育成を考えている熱心なスポーツパパ、ママは山ほどいる。「あのチームは将来を見据えた指導をしてくれる」「あの高校はこういう選手が好みだから、ウチの子には合わないかもしれない」「中学時代に補欠だった選手が伸びている」「あの監督は有能だが、そろそろ異動になりそうだ」「○○大学にはパイプがあるが、○○大学とはない」などなど、実に細やかに子どものタイプや将来を考えたうえで、育成の仕方や進路を考えているのだ。

 それを如実に示すのが、次に挙げるような「スポーツ的観点から見た進学ガイド本」や、実質的なチーム紹介になっている「練習レポート本」だ。たとえばサッカーなら『高校サッカー&Jユース強豪・有力チーム徹底ガイド』(安藤隆人/メディアポート)や「高校サッカー 強豪校の(秘)練習法、教えます!」シリーズ(ベースボール・マガジン社)。野球なら『甲子園出場を目指すならこの監督』(手束 仁/日刊スポーツ出版社)や『高校野球実力ランキング 甲子園出場を目指す親子のための進学ガイド』(手束 仁/メディア・ポート)などなど。ちなみに野球には『甲子園球児になるための9つの方法』(スポルティーバ編集部:編集/集英社)という、甲子園に出るために必要な要素は何で、そのためにどこをどう鍛えればいいかに迫った「甲子園出場のための傾向と対策」がまとめられた書籍もある。

 もちろん、親が熱心でなければトップアスリートになれないわけではないし、他のプロセスだって存在する。ここまで考えてチームや学校選びをしている親子がいるのも事実。スポーツで一流になるのは、やはり簡単ではないのだ。