寅さんが再ブーム!? 名ゼリフに癒される人続出

更新日:2012/9/21

 世知辛い世の中を乗り越えるヒントは、寅さんの名言にある!?

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 いま、「男はつらいよ」シリーズの、寅さんの名台詞がひそかに人気を集めている。Facebookに投稿された、寅さんが愛を語るセリフに付いた「いいね!」の数は、なんと約13万件! 

 このFacebookに投稿されている名台詞は、寅さんを演じてきた渥美清のオリジナル音声を収録したiPhoneアプリ『年がら年中男はつらいよ』からピックアップされているもの。人情にあふれ、飾らない寅さんの言葉は、往年の寅さんファンに限らず若い人たちの心も打っているようだ。

 もちろん、本の世界にも寅さんの言葉に触れられるものがたくさんある。『人生に、寅さんを。 ~「男はつらいよ」名言集~』『人生に、寅さんを。 ~「男はつらいよ」名言集2~』(キネマ旬報社)は、寅さんの写真とともに名言を紹介。渥美清の滋味深い表情とともに、「そうよ、人生は賭よ。」「どうした みんな元気を出せ もうすぐ青い鳥が 見つかるぞ。」と、しみじみとキャッチ―なセリフがピックアップされている。帯に寄せた劇団ひとりの「なんでかなぁ。そんなムズかしいこと言ってないんだけど染みるんだな、寅さんが言うと。」というコメントが納得の1冊だ。

 また、もう一歩掘り下げて味わいたい人には、名言とともに寅さんという人物についても考察している『ヘタな人生論より「寅さん」のひと言』(吉村英夫/河出書房新社)を。人には「愛してますと言うとか、抱き締めるとか――そんなことも出来ないのか。情けないなあ、お前は」と諭すものの、いざ自分の話となると「お会いしたその日から、別れの時の来るのが辛うござんした」と、なんとも奥ゆかしい寅さん。筆者は、寅さんが「(思慕する気持ちを)自分の心の世界にだけとどめておくことが、幸福が逃げない保障になる」と考えていると分析するが、この“片想い中毒”っぷりは、現代の恋に臆病な男子&女子も共感できるのでは?

 さらに、『寅さんとイエス』(米田彰男/筑摩書房)は、寅さんとイエス・キリストの生き様から、その共通点を示した本気の“学術書”! イエスのフーテン性や、寅さんの軽妙な言葉とイエスのユーモアあるたとえ話の符合など、たしかに似ている部分がいっぱい。そもそも『男はつらいよ』は、最初はテレビドラマとして放映され、寅さんが奄美大島でハブに噛まれて死亡(!)して最終回を迎えている。が、テレビ局には抗議が殺到。映画となって寅さんは見事に“黄泉がえり”、復活を果たしたのだ。そう。十字架にかけられ息を引き取ったイエスが、復活を遂げるように! まさかこんなところにまで共通点があったとは……筆者の並々ならぬイエス&寅さんへの愛が導いた発見だろう。

 “神の子”とも比較されるほどに、人を魅了してやまない寅さん。その心あたたまる言葉に触れることは、きっとストレスの多い日々の癒しになるはずだ。