働くアラフォー女子は出版男子に萌える!?

BL

更新日:2014/4/14

 いま、「オトナも楽しめるBL作家」として人気を集めている中村春菊。NHKの朝の情報番組『あさイチ』のマンガ特集では、有働由美子アナウンサーが「あたしBL読んでる。男女の恋みたいに簡単に結ばれないから切なくていい!」とBL好きをカミングアウトしたことで話題になったが、その番組内でも紹介された代表的なBLマンガ家だ。なかでも代表作の『純情ロマンチカ』(角川書店)は、シリーズ累計250万部を突破。そんな中村の『世界一初恋』(角川書店)は、『純情ロマンチカ』をしのぐ人気を集めている。

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 「純情ロマンチカ」シリーズはストーリーも恋愛の展開もスピーディーだが、『世界一初恋』は、ゆっくりひとつひとつの障害を乗り越え、ステップを踏んで進んでいくので、現実味がたっぷり。また、エロ度は低めで、キャラの魅力や会話の妙で萌えさせてくれる。意外にも(!?)過激なエロでなく切なさがお好みという有働アナの好みにもハマる作品だ。

 エロ度が低めなので、BL初心者や男性でも入りやすく、お仕事小説としても十分楽しめる点も魅力だろう。『世界一初恋は、丸川書店という出版社を舞台に繰り広げられるBLなのだが、編集者と作家による作品のクオリティと締め切りをめぐる攻防などなど、出版社のお仕事がディテールたっぷりに描かれているのだ。

 そして、最新シリーズ『世界一初恋~横澤隆史の場合~』では、ついに出版界の陰の立役者・営業サンが主人公として登場! 少年マンガ『ジャプン』編集長・桐嶋×書店営業マン・横澤というカップリングが実現している。

 マンガ家や編集者を描いたマンガや小説は数多くあるが、本の営業のお仕事を描いた作品はまれ。単行本の部数を決定する際の編集者と営業のせめぎ合いや、メディアミックスをめぐる販促、平積みやポップなどでプッシュしてもらうための書店詣でなどなど、これ1冊で、出版社の営業マンの仕事がよくわかる。また、ときには編集者と営業マンが激しく争いながらも、1冊の本や雑誌を読者に届けるために、それぞれの立場のプロフェッショナルとして働くさまは、さながらスポ根モノを読んでいるような熱さ。

 失敗やトラブルがあってもクールに切り抜けてしまう、こんな彼らが上司だったらどんなに心強いことか……BL好きでなくても、働く女子ならきっと楽しめるはず。さらに桐嶋は小学生の娘を持つシングルファザーでもあるので、働くママも共感度大だ。

 こんなにBL男子だらけの出版社があるのか!? というヤボなツッコミはひとまず置いておいて、本好きの人たちにオススメしたいBLシリーズである。